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医師の迅速な手当てによって、深夜には意識を取り戻して目を覚ました
ところが、
心身へのストレスが
ムリヤリ記憶を呼び戻させようとすることは、まだ未完成な成長途上の少年の精神に大きなダメージを与えかねないと、捜査陣に強くクギもさした。
とはいえ、裁判長である父親がくだんの暴力団組織の会長に極刑を宣告したことへの報復として、
そこで、ただちに捜査の指揮権は警視庁に移り、宇佐美裁判長の自宅には厳重な警備がしかれた。
家族および近しい親類にも、当分の間それぞれに身辺警護がつくことになった。
かくして、一人息子の
本音をいえば、実行犯の捜査のほうにまわりたかった犬丸警部である。
犯人を目撃しているとはいえ、その記憶の封印を強引にとくことは医師から禁じられている少年である。
となれば、犬丸警部の役目は、高校3年の少年のお
あまりに不毛で不本意だ。
せめて
事件の夜からずっと、昼も夜も目を閉じるたび奇妙な悪夢に悩まされつづけるようになって不眠症がこうじた
「高校の寮でボクと同室だった友達が、今、地元に帰って『
かつて
彼を訪ねるために、こうして朝から
『夢催眠カウンセラー』という、どこを切り取ってもウサンクササしか残らないウロンな肩書きに加えて、
わざわざ警視庁のデータベースを駆使して調べてみたところ、どうやら昔から代々、宮司がオカルトめいた神事をおこなって評判を集めてきたようだ。
おまけに、
なんでも、
「どこまでも、ウサンクサい……」
広々とした来客用の駐車場に車をとめて、歩道の先の立派な赤い鳥居を、切れ長の
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