第17話 救い
僕は
「
「
僕がそういうと、
「......でどうでした」
「ええ、どうやら本当のようですね」
「やはり、殺されたのですか」
僕が帰って二日後、
元信徒によって
「寄付をして破産し一家離散、
それで騙されていたと感じた元信徒が怒りに任せて、
「......そうですか」
「浮かない顔ですね。これで教団はなくなるのではないですか」
「かもしれませんが......」
「......それを聞くと、どうやら
金や権力がほしかったわけではなかったようですね」
先生が縁側でお茶を飲みながら言った。
「おそらく......復讐のようなものだったのかと、
妹さんの死で希望を失くし、周りを憎むことで生きてきた......」
「わかるような気がします......
私も生きる気力を失くしたとき、
そのような気持ちだったのかもしれない......
だが、私には
そういって先生は、
哀しそうな目で遊んでいる
「こういう悲しさや苦しさを無くすには、
どうすればいいのだろう......
「......私の師匠、
『仙人とて心はあり、
そして例え逃れたとしても、
そうなったそれはもはや何者でもない』
と言ったのだ、と
そう言っておられました」
「仙人とて、
「
そのこと、心から感謝しております。
何が起ころうとも、あなたはあなたの道を行かれますよう」
そういって先生は席を立つと、
(僕の道か......)
次の日、
村の人も大勢外にでている。何やら笑顔だ。
外で話をしていた。
「ああ、
こちらをみて近づく。
「
村のものも治りました。なんとお礼をいってよいやら」
「ありがとうこざいました」
「いえ、かまいません。皆が治ったなら、それで十分です」
「ありがとうございます......
あと、あの......
(
もう教祖がなくなれば)
「......実はあのあと、
私どもとこの村の者は
に、入信したのです」
「えっ!?ですが教祖は亡くなったのですよ!」
「ええ...... 聞いています。
ですが、上級信徒から新たな教祖を選ぶようです......
少数は脱会したようですが、
他の村も同じ様に信徒を続けるようです。
来世ぐらい希望を持ちたいからと......」
そう虚ろな目をして礼をいうと、
他の村人たちも同様に何か空虚な顔をしている。
(もう彼らは、意味がないとわかっていても、
仮初めの救いにすがるしかないんだろう。
もはや僕が何を言っても無駄だ......
力があろうが、仙人だからだろうが......)
僕は無力感にさいなまれながら村を離れた。
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