雨ふり女子のみる夢は
こぼねサワー
1-1
広大な竹林を
午前6時半。食堂の椅子に腰かけた権禰宜の
「ダメです」
涼やかな声が耳元にささやいたと同時に、手首を強くつかまれた。
星尾は、持ち前の甘いマスクをキョトンとさせて、隣に立つ人物を見上げた。
この神社の
「この水には、
たちまち、同じテーブルを囲んでいた権禰宜たちは、いっせいにガタガタと騒音を響かせながら立ち上がった。
「蠱毒!?」
オウム返しに誰かが口走った悲鳴が不穏なザワメキとなって食堂全体に広がり、約1名をのぞいた全員が
その"約1名"にあたる陽向の双子の兄・月御門
「は? コドクって、なによ?」
清流のようにしっとりした双子の弟の声とは対照的ともいえる、甘ったるく乾いた声をスットンキョウにうわずらせて尋ねた。
ここにいる全員が神主の平服たる和装の上衣と
答えを返す代わりに陽向は、朝食に添えられた
「
……
そう小声で口ずさんでから、フッと先端に短く息を吹きかけると、コップの中に差し入れた。
とたんに、透明な飲み水しか満たされていないはずのコップの水面から、水柱がピュッと垂直に浮き上がった。
小さな噴水のように30センチ近くも吹き上がってからユックリと再びコップに落ちるとき、水柱の
「な……っ!?」
叫ぶ余裕もなくポカンと開け放たれたままの星尾の口の中に
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