第20話 存在確認
「ん〜、こんなもんかな?」
雪が降り積もる中、母屋から『引越し』に必要な物を選び抜く。
今回は『魔力袋』が手に入ったので、役に立つ物を捨てなくて済むので嬉しい。
思ったより容量が有るようで、どんなに入れてもまだ余裕が有るようだ。
ジイジとバアバに尋ねると、使用者の魔力の大きさで容量が決まるらしい。
まあ、それでも不要な物までは入れないけどね。
それに、もとから入っていた道具類で私には不要な物が多かったから全部出して整理しないとね。
武器や毒物なんかが多かったのは、まああいつらの仕事がそういうことだったんだろうから。
小刀と手斧は良いものがたくさん有ったので取っておこう。魔力を込めると中々良い力を発揮してくれそうだ。
小弓がいくつか有ったので、少し練習してみようか。矢が無かったので、適当な木を切ってきて作ろう。
飛び道具が有ったほうが今後はよさそうだしね。
毒物は、薬に作り変えられそうなもの以外は処分でいいかな?
雪解けまであと二月ほど、移動出来るようになったらすぐにでもここから立ち去りたいからね。
主から得られた情報から私の『存在』は知られてはいないと思われるが、用心に越したことは無いだろう。
『前回』の引越しの時は油断した結果、何も持たずに去らなければならなかったしね。
それにしても、まだ私の記録が残っていて存在確認を諦めていなかったとはね。
主が記録を全部焼き払ってきてくれたようだから、しばらくは大丈夫だと思いたいんだけど。
あの『事件』から何年経っただろうか。
もう私も思い出せない程の前の話だからね。
前の『身体』が使えなくなって今の身体になってから十数年、そろそろ長距離移動しても耐えられるだろう。
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