蛍と共に 異世界の山奥でのひとり暮らしスローライフ?
じん いちろう
プロローグ
「ジイジ、バアバ、今年の冬は、寒いのかな?」
彼女の周りを二つの微かな光が舞う。
「そっか〜、じゃあ薪を多めに用意しないといけないね?」
木の実や果実、稀に見かける薬効の有る葉物や茸を収穫しながら山を下る少女。
獣道を辿り、背負ったカゴの中程まで収穫しながら水辺まで来ると、
「こんなもんかな?」
一際明るく光る、一つの蛍の様な………
「わかってるよ〜、バアバ。森の恵みなんだから皆に残す分は考えてるよ!」
水辺の木に括った紐を手繰ると、カゴ状の罠の中には数匹の小魚が。
「お前達は、また今度おいで!」
少女の掌よりも小さな魚達を逃がしながら、残った獲物のエラに小刀の先を突き刺し腹ワタを抜く。
抜いたワタは、カゴに入れて少し移動して水辺に沈め、木に括る。
「さあ、かえろうか!」
頭上の二つの光が点滅すると、いくつかの光が集まりだし少女の周りを舞いながら点滅した。
「わかったよ、早く帰ろう?」
これは、とある山奥で、一人暮らししている少女が山を降りるまでの物語。
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