私も一応、後宮妃なのですが。
秦 朱音 Ι はたあかね @書籍発売中!
第1話
「蝉はこうして、腹を上に向けて死ぬのね」
中庭にある松の木の下で、私はしゃがみ込んで蝉の骸を指でつついた。
「
「……ねえ、
「私の話、聞いてました? 早く中にお戻りくださいよぉ」
私の腕を引いて殿舎の中に連れ戻そうとしているのは、侍女の
十二歳で皇太子――現在の皇帝陛下・
皇宮の
怖くて木から降りられなくなった
私たちは夫婦と言うより、悪友。
私などいなくても
そんな
彼は私に、他の妃との恋愛相談をしたいだけなのだ。
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