昭島に海なんて無いじゃん。でも、大きな夢がありました。

「空とぶクジラ」のタイトルに興味をそそられ覗いていました。
「かつて昭島はクジラが泳ぐ海だった」
 昭島って東京の外れでしょう。海なんて無いじゃん。作品のエピソードに驚いてゆく。読み進むにつれ、実際にクジラの化石が発見された事実を知る。えっ、本当かいな? ビックリです。

 
でも、主人公の小菊ちゃんは想像力豊かで信じているのです。
「将来の夢に、昭島の海でクジラが泳いでいるところを見たい」面白さはこの発想に凝縮されている。幼い頃の夢は実現性なんて関係ない。そうだ、そうだ! と応援したくなります。
 
あわせて作者の筆遣いは心の描写に尽きる。本当に上手。特に「動き」のある表現と「、」で間の取り方が最高です。


さあ、はたして小菊の夢は実現されるのだろうか?ドキドキしてきます。
 
いつしか海のクジラは空に浮かぶものに成り代わってゆく。この発想の転換力、メインテーマも凄い。否、面白いと言った方が正確だろう。

エンディングも見事でした。小菊の子供達が空を見上げて河原を走ってゆくところが。なんか、夢があって楽しい話です。長くなりごめんなさい。ありがとうございました。