フワフワのパンケーキ
メロディは小さな畑に両手をついた。メロディの手がパァッと光る。すると畑からは真っ赤なトマト、キラキラの金色のヒゲを生やしたトウモロコシが育った。メロディの魔法を後ろで見ていたマサラが喜びの声をあげた。
「すごいわ!メロディ」
「えへへ。マサラさんにはいつもお世話になってますもん。あたしが出せるお野菜ならいつでも言ってください」
「ありがとう、メロディ。そうだ、これを持っていって?今朝産みたてよ?」
マサラが持って来てくれたバスケットの中には、ツヤツヤとした玉子がぎっしり入っていた。メロディは喜んで礼を言った。
「クレアちゃん!マサラさんから玉子もらったよ!」
「でかしたメロディ!」
メロディが花屋に帰ると、店番をしていたクレアが喜んで迎えてくれた。マサラの家は大家族なので、よく玉子を産むめんどりが沢山いるのだ。メロディはマサラに野菜を魔法で出してあげるお返しに、玉子をもらうのだ。これがメロディとクレアの貴重なタンパク源になるのだ。
クレアは不敵な笑みを浮かべてメロディに言った。
「メロディ、今日のオヤツにパンケーキを作るわよ!」
「パンケーキ?!フワフワの?!やったぁ!」
その日クレアが作ってくれたランチはキャベツとにんじんとじゃがいもが入ったコンソメスープだった。ランチは軽く済ませる、本題はオヤツのパンケーキだ。
クレアはボウルに卵黄だけを入れ、牛乳を入れてよく混ぜる。小麦粉とベーキングパウダーは粉をふるっておく。卵白はしっかり混ぜなければいけないそうだ。かたいメレンゲにしなければいけないらしい。
クレアはボウルに入れた卵白を泡立て器で一生懸命混ぜている。途中砂糖も入れる。クレアが疲れたらメロディが交代する。美味しいパンケーキを食べるためならメロディもがんばる。
やっとの事でしっかりツノが立つくらいに固くなった。レモン汁も少し入れて混ぜる。
卵黄の方にふるった小麦粉を入れる。卵黄のボウルに泡立てたメレゲンをつぶさないように混ぜる。
オリーブ油をひいて熱したフライパンにパンケーキの種をおいていく。くっつかないように四つ。クレアはお湯をスプーンですくって、フライパンの隙間に落とした。ジューッと蒸気が上がる。クレアはすかさずフライパンにフタをする。
蒸気でパンケーキを焼くのだそうだ。何度もお湯を入れ、七、八分焼く。ゆっくりとフライ返で裏返す。薄く焼き色がついている。裏返したパンケーキも同様に差し湯をしながら四、五分焼いていく。
ゆっくり時間をかけて焼き、ようやくフワフワのパンケーキが完成した。クレアはメロディのお皿にフワフワのパンケーキを二枚置いてくれた。メロディはキャアッと歓声の声を上げた。
前もってクレアに作ってもらった。いちごジャム、りんごジャム、ブルーベリージャムをテーブルに並べる。メロディは最初はイチゴジャムをかけた。クレアはブルーベリージャムをかけている。
パンケーキにフォークを入れると、シュワッと音がした。フワフワに焼きあがっている証拠だ。メロディはゴロゴロイチゴのジャムをたっぷりのっけて口の中に入れる。
フワフワのパンケーキは、口の中でとろけてしまった。イチゴジャムの甘酸っぱさも口いっぱいに広がる。メロディは思わずつぶやいた。
「美味しい~。幸せ~」
「ホント、美味しい!」
クレアも上品にパンケーキを食べている。小さなドラゴンのウェントゥスは焼いた食べ物は食べられないから、メロディが植物魔法で作ったイチゴとりんごを食べている。
メロディは目をキラキラさせながらクレアに言った。
「クレアちゃん!毎日パンケーキ食べたい!」
「太るから毎日はダメ!」
「ええ~」
不満げな声をあげたメロディを見て、クレアは苦笑していた。
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