Chapter 5-8

「結局、今日一番罪作りだったのは君だな。この女泣かせめ」

「うぐっ……! し、仕方ないじゃないか、本当の事なんだから!」


 事件(?)が解決し、宇佐美先輩を家まで送り届けた後。僕は再び、三峰の後ろに乗せてもらって帰路に就いていた。

 ああ、本当に寒いな、今日。やっぱり車で帰るべきだったかな……。などと考えていたら、三峰の方から話し掛けて来たのだ。

 思わず声を荒げてしまったが、自分の言葉に嘘偽りも、後悔もない。ただ、宇佐美先輩が涙を流してしまったので、その点に関して罪悪感が残っただけだ。


「で、もう決まっている人というのは誰の事なんだ?」


 何を白々しい。人の気も知らないでからに。


「さあ? 誰だろうねぇ。まあ、君には絶対に教えないけれどね」

「ほう。言ってくれるな、慎之介の癖に」


 言い合っている内に僕の家に着く。家の中は真っ暗で、父さんたちはまだ帰って来ていないようだ。宿舎の方は明かりが点いているので、誰もいないという訳ではないようだけれど。

 門の前にバイクを停めた三峰に、僕は言う。


「寄って行きなよ。お茶くらい出すよ。今日は本当に、君のお陰で助かったからね」


 だが三峰は僕を振り返ったまま唖然としている。


「三峰?」

「あ、ああ、いや……。そ、そういう事ならやぶさかではないな」


 と、三峰はそっぽを向くように前に向き直る。

 僕がバイクから降りると、彼女は何かを呟く。


「全く……。急に素直になられるとこちらだって調子が狂うぞ」

「ん? なんだって?」

「なんでもない! ガレージを借りるぞ!」


 何だって言うのか。


 ガレージにバイクを入れて戻って来た三峰と一緒に玄関を開けると、いきなり明かりが点いて、「お帰り慎之介、真綾君!! 今日は君たちの初夜の為にベッドルームを整備しておぐふぉぅわああ!?」


 言い終わる前に鉄拳制裁しておきました。

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