Chapter 2-4
「つ、摘みたてのハーブティーを淹れてくれるメイドさん……!! ありがとうございます……! ありがとうございます……!!」
「ごちそうさまです、茅さん。いつも美味しいっすね」
「恐れ入ります」
一之瀬君と歩も紅茶を淹れてもらい、一旦ティータイムとなる。
それにしても、一之瀬君のメイドさんへの憧れは半端じゃあないようだ。
そんな一之瀬君から、こんな質問が飛んで来た。
「そうだ、赤西君と冴木君って、いつから一緒なの?」
「小学校に入った時からだよ。あの頃から歩は、いい意味でも悪い意味でもこんなだったなぁ」
「それを言うならシンもだろ。なんでもできるけどすぐに悪目立ちしようとして」
「はっはっは。嫉妬は見苦しいぞ歩。僕のように完璧な人間が目立つのは当然さ。悪目立ちだなんて、人聞きの悪い」
むしろ目立ってる? 目立ってるの? 僕。
「まさか、同じ高校に入るまで続く腐れ縁になるとはね」
「ホントにな。大体、お前の偏差値ならもっといい学校行けただろ」
「そうすると、家を離れないといけないからね。それに、両親も一般教養を学んで来る事を望んでいるし」
「ふーん。そんなもんか」
「そうそう、そんなものだよ」
ウチの両親は昔からそうだった。小学校も中学校も家の近くの公立、高校も私立受験は禁止だった。
次に一之瀬君は、三峰に昔の事を訊く。
「真綾は中学校の時から一緒だったんだよね?」
「ああ。中学受験も合格していたんだがな。取り止めになった」
「そうなの? もったいないなぁ。何かあったの?」
「ああ。慎之介と同じ学校に入るように言われてな」
「え? それって……」
まさか、一之瀬君、気付いてしま――。
「真綾のご両親と、冴木君のご両親の仲がいいからだよね?」
「シンと三峰さん、最初から仲よかったもんな」
ふう、二人が鈍くて助かったよ。……歩の台詞は若干聞き捨てならないけど。
安堵したのも束の間、爆弾が思いもよらない所から投下される。
「慎之介様と真綾様は、両家の決めたいいな――」
「茅さんちょっと手伝って欲しい事があるんだけどいいかな!!」
僕は茅さんの腕を引っ掴んで、リビングから物凄い勢いで飛び出した。宿舎への連絡通路を渡り、空いている部屋に入る。
ふう。あぶねー。
「茅さん、それは二人には言わないで」
「何故です?」
「何故ってそりゃあ、僕は許嫁だからってあいつと結婚するつもりなんかないからさ。今でこそ歩も一之瀬君も、僕と三峰が仲がいいと思ってるみたいだけど、許嫁の事がばれたら、あの二人は余計に勘違いしちゃうよ」
「成程。それでは……」
スルッと衣擦れの音がする。
茅さんは何故か服を脱ぎ始めた。胸元が肌蹴て、下着が見え……そうでギリギリ見えない。
「わたくしが慎之介様を狙っても?」
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