第5話 埴輪の見る夢

「やあ、アッシだよ。はにわハオちゃんだよ」

 どうした事でしょう。いつもの流れなら、女庭メオちゃんの前座を挟む筈ですが…


「今日は皆んなに、お知らせがあるよ」

 急に改まって、何を伝えるのでしょうね?


「最終回だよ」

 ええ?! まだ構想の半分も書いてませんが?!


「だって、カクヨムコンに出たいんだよ。小編は10000文字の制限があるんだよぉ」

 ──いけない!ハオちゃんのヨクボウが溢れてくる!


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「ハオちゃん!! しっかりするのですわ!」

 女庭メオは、もがき苦しむ埴輪ハオを抱きしめています。

「メオちゃん、アッシは…アッシはぁあ!」

 血の気が引いたハオちゃんの顔は、土気色に変わり果てています。苦しむ彼女にメオは声の限りに叫びます。

「ハオちゃん! 今までの出来事を思い出すのですわ!楽しかった思い出を!!」


「きゅう……給食美味しかったよ」

ハオちゃんの脳裏をかすめたのは、ふやけたパスタとパサパサのパン。ご飯に牛乳という理不尽が、彼女を蝕んでいたのです。たぶん。


「ハオちゃん。私がアナタをヨクボウから救いますわ」

 メオはハオをきつく抱きしめると、二人の身体は輝きを放ちました。これは決してGLの目覚めではありません。女庭メオもまた魔砲少女だったのです!! 

 すると!ハオちゃんの口から禍々しいモヤが溢れ出てきたではありませんか!


ゲロゲロゲロォ表現自主規制……だよぅ」

 ハオちゃんが再び、その瞳に輝きを取り戻したのは、メオちゃんの愛によるものか? ゲロによる涙目か? 判断は、皆様の想像にお任せします。


 吐き出されたモヤは次第に型取かたどられていきました。

『おおお、ハオよ。ヨクボウの根源が現れるぞぅ! 気をつけるのじゃあ』

 それは埴輪の髪留めがおののく程のプレッシャーを放ちます。

 遂にヨクボウの化身は姿を現しました。

「あ、アレは……土偶だよ!」

ハオちゃんは大きな瞳を、これでもかと当社比1.2倍の出血大サービスで見開きます。

 駄目です。それ以上まぶたを開くと眼球が飛び出してしまいそうです!

 そんなグロイシーンを放送すると、良い子の親からクレームが殺到してしまいますし、ACが黙ってはいないでしょう!


 さてさて、ハオちゃんが盛大に驚くのも無理はありません。

 埴輪と違い、土偶には腰に『くびれ』があるのです。

「なんて……ワガママボディなんだよ」

辛い現実が襲ってきます。埴輪ハオちゃんの寸胴ずんどうボディには精神的にも効きます。


「ハオちゃん! 私が隙を作りますわ! トドメをお願いしますわね!」と、メオちゃんは土偶に飛び掛かりました。

怒気滅鬼トキメキ女庭目にはメオアターック♡」

 メオちゃんの魔砲目潰しが土偶に炸裂、『グオぉおお』と、土偶は唸り声を上げました。

「大きな目が仇となったですわね!ハオちゃん!今がチャンスですわ!! ……え?!」


 まあ!なんという事でしょう!?

ハオちゃんは地面から湧き出た土偶達に捕まっています!

「やばいよ…… 動けないんだよ。あと、1,000文字しか猶予がないんだよぅ!」

 そんなメタ発言している場合ではありません。どうやって土偶を倒すのでしょう? またもやピンチに逆戻りです。しかし!その時、土偶の放った一言にハオちゃんは活路を見出しました。


『魔砲少女達よ。ここで終わりだ』

と、土偶は敵として言ってはならない敗北フラグを立ててしまったのです。すかさず、ハオちゃんは禁断の呪文を唱え始めました。


ボソボソボソボソボソ…土偶って実はオバさんなんだよ

 そうなのです!

土偶と埴輪は作られた時代が違います。 土偶は、縄文時代に作られたものですが、埴輪は弥生時代と、後に作られたものなんです。


ボソボソボソボソボソ…肌もガサガサで艶がないんだよ

 そうなのです!

土偶は表面の加工が荒く、一方、埴輪はキメ細かいのです!


『なんですってぇぇえええ!!』

 ハオちゃんの禁断魔砲が、土偶のヒステリーを誘発します!


「トドメですわッ! ハオちゃん!!」

女庭メオちゃんの激アツカットインが入りました。これで勝利は確定でしょう。


「アッシは埴輪ハオちゃん、土偶より人気なんだよぉー!!!」

 ハオちゃんの口から放たれた魔砲が、土偶の自尊心を打ち砕きます。 ついでに身体も打ち砕きます。

『おのれぇ!魔砲少女ぉお!!』と、テンプレ捨て台詞をシッカリ回収して土偶は土に還りました。


「悪•霊•退•散!」


 激戦を制した魔砲少女達は、肩を寄せ合い微笑みました。

 その姿は夕日に照らされ、長い長い影を落とします。演出家としては、その影の中にスタッフロールを流したい所ですが、残念ながらスタッフは作者一人しか居ません。

 ですので、次のエピローグで是非コメントを残してスタッフの一員になってくださいね!

   『次回、エピローグだよ!!』

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