誘われるまでもなく、キミの魅惑に酔っている
闇野ゆかい
第1話意気地なし
「カズ、カズカズぅーっ!そんなとこで突っ立ってないで、こっち来て遊ぼ〜」
浜辺を駆け、波打ち際で足を止めた少女は満面の笑みを浮かべ、片手で手招きをする。
ビキニ姿の長谷部藍華が無邪気な笑みを浮かべている
隣で体育座りをする一人の少女がむすぅーっとした表情で、俺に行くのか、と視線で訊いてきている。
俺は不機嫌な表情を変えずに見据える少女に、行かないことを告げた。
「いっ、行かないよ……」
「そう……」
不貞腐れたトーンで短く返した永倉だった。
山下樹と長谷部が海水をかけ合って、はしゃいでいる。
「は、はりきったのに……数雪のばかっ」
隣で膝をひとさし指で撫でながら、ブツブツと小声で呟く永倉は殺気を漂わせていた。
「あっ、お手洗いに……」
俺は言い訳を告げ、永倉から離れることにした。
海水浴に誘われたのはラッキーではあったが、友人の二人——長谷部藍華と山下樹も強引に誘ってしまったことにより、
二人で海水浴を楽しむのはハードルが高すぎて——四人で海水浴という現在に至る。
仕方がない……俺は意気地なしな
距離感が近い割には、俺を名前で呼べてない永倉だ。
長谷部がカズと俺を呼ぶことに少なからず嫉妬している彼女である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます