美少女な同級生のおっぱいを見てしまったことで、責任を取ることになったんだけど、逆に数股する羽目になりつつある現状を何とかしたい。

譲羽唯月

副生徒会長の生おっぱいを見てしまったことで、付き合うことになった

第1話 美少女な同級生のおっぱいを見てしまったことで、責任を取ることになった日

 須々木初命すすき/はじめは衝撃を受けることになった。


 視界の先に映るのは、二つの膨らみ。初命が初めて目にするものである。


 いずれかは触りたいと思っていたが、今まさに、それと向き合っているのだ。


 朝のHRが始まるまで、あと三〇分前の時間帯。すでに学校に登校していた初命は、白い肌を直視していた。


 制服どこか、ブラジャーすらも身に着けていない。生まれたままの美少女の姿が、そこで佇んでいたのである。


 初命はあまりにも現実味がなさ過ぎて後ずさってしまう。


「……」


 言葉すら失ってしまうほどの衝撃具合。




 校舎の一室。

 その室内には全裸の美少女がいて、入り口付近に佇んでいる初命をまじまじと見つめていた。


 そして、そこで着替え真っただ中な彼女の表情がみるみると赤く染まっていく。


 胸元を隠し、初命を睨みつけるのだ。




 結城奈那ゆいき/ななは学校の中で、かなり恵まれた容姿をした美少女。


 誰もが一度は、制服に隠れたおっぱいを見たいと思っているほどに、スタイルが良く人気も高い。


 奈那の魅力は容姿だけではなく、成績や運動も長けており、教師からの評判もいいのである。


 今まさに、初命はそんな彼女のおっぱいを目撃していたのだ。




「……ッ、ちょっと、どうして、ここに入ってきたのよッ」


 奈那は両手で胸元を隠しながら、強気な口調で対応する。


「ご、ごめん……お、俺はそういうつもりじゃなくて」

「だったら、なんで扉なんか開けたのよッ」


 奈那は相当焦っている。

 普段は優しい雰囲気を漂わせている彼女だが、今は全く違う。

 声だけでそれが伝わってくるほどだ。


「俺は……呼び出されて、ここに来ただけなんだけど」

「呼び出されて? だ、誰によ」

「それは――」

「というか、扉を閉めて」

「はいッ」

「それと、背を向けてて」

「す、すいません――」


 初命は背を向け、何とか心臓の鼓動を抑えようと必死になっていた。


 本当に、女の子の着替え姿を覗いてしまった。

 それだけでも、色々とヤバいのに、ブラジャーすらもつけていない裸体をも目撃してしまったのである。


 感情の高ぶりを抑制しようと思っても、心臓音はより一層激しくなるばかりだった。


「君さ、こっちの方を向かないでよ」

「はい」


 初命は背を向けたまま、緊張した口ぶりで焦った反応を示す。






「……もう、いいわ。私、服を着終わったから」


 初命はホッと胸を撫でおろし、ゆっくりと彼女の方を振り向いた。


 そこには制服姿でかつ、ショートヘアスタイルな奈那が、軽く頬を紅潮させ、佇んでいる。


 それにしても、かなりデカかったと思う。

 いや、そういうことじゃなくて……。


 今は、エッチなことを考えていてはダメだと思い、軽く首を横に振り、疚しい気持ちを一度リセットしようとした。


「君さ。呼び出されたとか言ってたけど。誰に呼び出されたのよ」

「それは、手紙で」

「手紙?」


 初命は制服のポケットから一枚の紙を取り出す。

 そこには女の子らしい字で、待ち合わせ場所や時間帯などが記されているのだ。


 その待ち合わせ場所は、今まさにいる校舎四階の空き教室である。


「手紙って。別に私、こんなの書いてないわ。それに、送り主不明じゃない」


 奈那は呆れた感じに溜息を吐いていた。


「というか、君さ。こういうのに騙される感じ?」

「俺は、騙されたわけじゃないと思うけど」

「待ち合わせ場所に、この手紙の差出人がいないってことは騙されたんじゃない?」

「そうかな?」

「というか、君って童貞?」

「……」

「まあ、いいわ。何となく、わかったから」


 童貞だと思われたのだろう。


 美少女から、そう思われてしまうのは非常に辛いものがある。




 初命は恋人が欲しい。そんな一心で、手紙を頼りに、この場所までやってきたのだ。

 大きな裏切りを受け、心の傷が広がっていくようだった。


 やっとの想いで、人生初恋人ができると、ワクワクしていたのに、目的の子はいなかったのである。それどころか、奈那から童貞として思われてしまったことに情けなく感じた。


 確かに、初命は童貞である。

 言い訳も反論もできず、ただ無言の対応を、そのまま受け入れることしかできなかった。




「君。こういうのに、騙されない方がいいよ」

「ごめん。本当に……俺、何かしらの形で責任はとるよ」


 初命は誠意を見せる。

 土下座までしようとしたが、彼女から引き留められた。


「……別に、私はそこまで求めてはいけないわ。でも、君の方から何かをしてくれるって言うなら」

「では、学校近くの喫茶店で、何かを奢るとか……」

「……君。そういうので、責任ってとれると思ってる?」

「……やっぱり、無理ですよね」

「当り前じゃない。私の体を見ておいて。あのさ……私と少し付き合ってほしいんだけど」

「……え?」


 何か聞き間違いかなと思う。


 それほど、初命は彼女の言葉に、耳を疑ってしまった。




「付き合うとは?」

「言葉の通りよ」

「俺と? パッとしない、地味で陰キャみたいな。俺と?」

「ええ、そうよ。私、さっき、そう言ったでしょ。付き合ってって」

「……」


 初命は現実味がなさ過ぎて、内心、動揺している。


 どう考えてもおかしい。


 学校の中でも美少女だと言われている彼女と、正式に付き合うことになるなんて驚きでしかなかった。


「君さ。彼女とかいないんでしょ?」


 初命は頷いた。


「じゃあ、問題ないじゃない。私が彼女になってあげるんだから。それとね、君さ、陰キャだとか、自分の事、悲観的に言わない方がいいわ。前向きになった方が気分的にもいいと思うから」


 奈那は優しく笑みを返してくれた。

 でも、ちょっとばかし、表情がぎこちない。


 おっぱいを見られてしまったことに恥ずかしさがあり、それを強く気にしているのだろう。むしろ、それが普通の反応である。


 女の子としての大事なものを見られたのだ。

 彼女は意外と現実を受け入れるのが早いような気がしていたが、内心、恥じらいを持っていたことに、初命は不思議と安心ができた。




「まあ、これからよろしくね……変態」

「やっぱり、気にしてるんだよね」

「あ、当たり前でしょ……私の胸を見たくせに。一応どころか、相当気にしてるわよ。でも、しょうがないっていうか。いつまでも根に持ってもしょうがないし。付き合うってことで、私もケジメをつけるつもりよ」


 奈那は少々強気な口調で言い、サッと初命の方から視線を逸らす。


 ずっと、初命の顔を見ることに抵抗があるようだ。

 やはり、心のどこかでは恥ずかしさでいっぱいなのだろう。


 初命は彼女が納得するまでは、誠意をもって対応しようと思った。

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