全ては主様のために!~執事少女の努力譚!~

冬空華

第1話 彼女は……


 世界は黒白だ。無味無臭でなんの価値もない。


 「○○様よろしければこの曲を聞いていただけませんか?」


 私には価値があるようでよく人がまとわりついてくる。


 「ぜひぜひ!聞かせてもらえる?」


 私にとってこの世界は等しく無価値で……



 ーーー♪ーーー



 これは……?


 ー貴方のためなら何でもしましょうー


 なに、これ


 ー貴方は酷く美しいー


 その時私の世界は急に色づいた

 その眩しさに目がくらむほど

 あぁ!なんて退廃的な響き!


 私もこんなことを言いたい。


 その子に感謝したそして私は執事の勉強をした。


 執事は家人のために何でもできなくてはならない。


 経済学、歴史、振る舞いetc.


 とにかく何もかもを勉強した。


 だが絶望した。私は、私は女だった。


 執事喫茶で働けなかったのだ。


 もう絶望した。男装をしていったのに貴方女性でしょ?と言われたのだ。


 どうしようもないことで躓いた。


 そして、死んだ。


 何が原因で死んだのかもわからない。


 それほど絶望していたとも言える。


 そして運命のときが来る


















 そこには神がいた。





 私でも美しいと思う造形美の両性的な神


 神は私に問うた


 異世界に行きませんか?と


 はて、異世界とは?


 『それも知らないのですね』


 知りませんが?何か?


 『いえ悪く言っているのではありません最近の若い人間は異世界というだけでわかるので新鮮に思っただけです。そうですねゲームの世界といえばわかりますか?』


 魔法を使ったりして魔物を倒すという感じの?


 『ええ、そのような世界です。厳格に言えば貴女の住んでいたような異世界もあるのですが異世界というとゲームやラノベという読み物の世界というイメージが強いようですし、実際私の世界もそのような世界なので異世界と言いました』


 そうですか、私はなぜその異世界に行きませんかと問われているのでしょうか?


 『色々な理由があるのですが貴女が可哀想だったからでしょうか』


 可哀想……普通の人に言ったら怒られますよ


 『ええでも貴女は思わないでしょう?まぁ興味関心を持ったからとでも言えばよろしいでしょうか?』


 どちらでもいいです


 『まぁ私もどちらでもいいのですが神というものは長い時を生きるので興味のあるものを好きなだけいじくって捨てるんです。貴女はついさっき私の世界に捨てられました。だから私もなんとなく興味が湧いて可哀想だと思ってお話をしてから遊び道具にすることにしました』


 遊び道具にすることが可哀想だと思うものにすることですか?


 『ええ、捨てないだけいいものです。貴女は地獄に送られることが決まったのですから』


 なぜ?


 『貴女を遊んでいた神が強大な力を持っていてそんな人をいじって遊んでいましたという事実をもみ消したいたぬきときつねが神にもいるのですよ』


 へぇ別に地獄に落ちてもいいけど


 『貴女が執事になれない人生をたどるのを永遠に繰り返す地獄がありますと言っても?』


 ……!?嫌だ!


 『では私の遊び道具になってくれますか?』


 ……わかった


 『私は優しいので力をあげます。そして貴女の望みをあげましょう』


 ……ほんとに聞いてくれるの?


 『ええ』


 それじゃあ執事になりたいそしてたった一人の主を見つけたい。


 『わかりました。それでは転生させましょう。それでは良き人生を』


 ありがと神様

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