第10話 婚活パーティー
俺はサーシャさんに連れられて、婚活パーティー会場に来ていた。
今日は若者の部ということで、男性は15歳から25歳まで、女性は30歳までとのことだった。
あれ? サーシャさんは帰らないのかな。不思議そうな顔でサーシャさんを見ていたら、
「王子、私、こう見えて、26歳ですっ」
とサーシャさんが信じられないことを言って来た。
「え? 失礼しました」
サーシャさん、キレイだけど、30代後半にしか見えないぞ。
「老け顔ですいませんねぇ」
「い、いえ、お色気がおありで、そのう、もう少しお姉さまかと」
ダメだ、完全にご機嫌斜めになってしまった。話題を変えよう。
「ところで、サーシャさん、島に呼びたい人とかいらっしゃいますか?」
おっ、考えてる、考えてる。
「そうですね。最初はとんでもない島に行くことになったと思ってましたが、むしろ天国のような島です。妹2人を呼び寄せたいです」
「私の婚約者が今度こちらに来ることになってまして、その時にお連れできると思いますよ」
サーシャさんの顔が輝いた。
「本当ですか!? 是非、お願いいたします。2人とも王都の教会でシスターとしてご奉公しています」
よかった。機嫌を直してくれたようだ。2人の居場所の詳細を教えてもらった。
俺が島の外とどうやって連絡を取っているかについては、詮索してこなかった。不思議な力を持っていると思っているのだろう。
「妹さんのことはお任せください。ところで、サーシャさんは他の男性とは話をしないのですか?」
「王子様、お気づきになられていませんか? 周囲の女性たちが虎視眈々と王子様を狙っていますよ」
そう言われてみれば、チラチラとこちらを見ているような気がする。
「私がいるうちはしばらく遠慮すると思います。サユリさんにパスするまではお守りします」
サユリさんが来たらいなくなっちゃうのか。
「あら? 王子様もそんな年相応のお顔をされるんですね。分かりました。私は歳上が好きですので、今日はずっとおそばにいて差し上げます」
「ありがとうございます」
俺は心の底からお礼を言った。
だが、サーシャさんが立ち退きそうもないと分かると、サーシャさんに構わず、女性たちが次々と俺にコンタクトしてきた。
婚約者がいること
妻は1人だけと思っていること
を相手の機嫌を損ねぬように誠心誠意説明した。サーシャさんも手伝ってくれたが、かなりきつかった。
ちなみに俺がこんなに人気があるのは、元王子だということがバレているからだ。元とはいえ、王子には興味があるらしい。
レベッカ・キルリスがそんな女性たちの1人として、俺にコンタクトしてきた。来歴簿には島に来た理由は記されているが、年齢は記載されていない。まさかこんな若くて美しい女性だとは思わなかった。
「王子様、初めまして。レベッカ・キルリスです」
レベッカは結婚詐欺師だ。結婚をちらつかせて何人もの男を手玉に取り、金銭を巻き上げた。ただ、殺人は犯していない。なるほど、この美貌を武器にしたのか。
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