第5話 同期4人の掌握

翌朝、早速若い2人に話に行った。


「ベンさん、トムさん、私はアレン王子です。ルナ姫の婚約者です」


2人はいきなり名前を呼ばれて警戒している。


「昨日座ったまま地形を調査できるスキルをお見せしましたが、ルナ姫とも連絡を取れるスキルも持っているのです。昨夜、おニ人のことをルナ姫から聞きました。ルナ姫をレンガ島で受け入れる準備をするためにわざと捕まったのだと」


まだ2人は信じられないといった様子だ。そりゃあそうだ。ルナの隠密が簡単に人を信用してもらっては困る。


「すぐに信用するのは無理ですよね。何か当事者でないとわからないような質問をしてみてくれますか。ルナ姫に今聞いてみますので」


2人は考えている。ベンの方が口を開いた。


「では、姫様の侍女のサラの妹の名前を教えてほしい」


「わかりました。聞いてみます」


母さんがルナに確認して、回答をしてくれた。


「ベンさん、ひっかけですね。サラさんには妹はいないそうです。弟がいて、ジョンだそうです。あなたの親友だそうですね」


ベンが驚いている。


「正解だ!」


「トムさんはどうですか?」


トムさんも質問を思いついたようだ。


「そうだな。念のために、もう1つだけ質問しよう。ルナ姫のスリーサイズを教えてほしい」


再度、母さんに確認する。俺も知りたい情報だ。すごい。某アニメのセクシーキャラと同じだった。


「トムさん、ルナ姫はあなたにはスリーサイズを教えていないそうですよ。でも、特別に教えちゃいます。99-55-88です」


「アレン王子、ありがとうございます」


「アレン王子、姫様からあなた様にもお仕えするよう命を受けております。昨日の時点でもしやと思っておりました。ご挨拶が遅れましたことをお許しください」


トムさん、ベンさんが俺を王子と認めてくれたようだ。


「いいえ、この地で簡単に身分を明かすのは危険ですでの、お二方のご判断は正しかったと思います」


俺は星占術師のサーシャさんと牧師のガリレイさんも呼んだ。


「ガリレイさん、私はアレン王子です。第5王子です」


神父は名前を呼ばれて少し驚いた様子だが、どうやら俺のことは王子だとわかっていたようだ。


「アレン王子様ということは昨日から気づいておりました。王子様の祝福の儀式の担当は、もともと私の予定だったのです。ところが、急遽変更になったので、理由を調べていたら、オランド枢機卿に嵌められました」


「第四王子の陰謀です。神の柱に細工をして、祝福の印がでないようにしたようなのです。オランド枢機卿はすでに神々によって罰せられ、地獄に落ちたそうです」


「そうでしたか。神罰が下るとは思っていました。7神教の政争が絡んでいて、オランド枢機卿の裏に別の枢機卿がいると思うのです。私の一派は私がいなくなったことで、粛清を受けていると思います」


「その件については、神々から教皇に話をつけてもらいますので、後ほど詳しい話をお聞かせください。私は月の女神から祝福を受けていまして、少しぐらいは神々にお願いできる立場にあるみたいなんです」


「御使い様であらせられますか。このガリレイにできることがありましたら、何なりとご指示ください」


「ありがとうございます」


俺たちはお互いの自己紹介を改めて行い、町に向かった。

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