第4話 G

Gが出た。ゴキともいう。

今年は見なかったので、寒くなった今日この頃、もう出ないものだとタカをくくっていた。


夜、家に帰ると廊下の白い壁に、

何か黒いシミがついていた。

なんのシミだろうと思って近づいたら、

そのシミが動いた。すごいスピードで、

天井近くまで行った。


Gだった。


私は発狂しそうになった。


この世で一番嫌いなもの、それがGだ。


それが今、天井の付近にいる。

広報誌を丸めて叩こうにも、手が届かない。


私は戸棚に置いてた殺虫剤を手にした。

Gを瞬間冷凍するやつだ。


そして私はそれをGに吹きかけた。

するとGは、Gは、Gは!


飛んだ。


そして私の着ていた服に着地した。


うぎゃー、

世界の終わる絶叫が響いた。


取り返しのつかないことになってしまいました。


私はどこかの部族が呪いの踊りを踊るように、

体を奇妙に動かして、Gが飛んで行くように仕向けた。


するとGは私の体からポトっと落ちて、

廊下を走り出した。


正気だ、正気に戻るのだ!

私は再び殺虫剤を手にして、

Gに吹きかけた。


Gは固まった。瞬間冷凍されたのだ。


急いで私はトイレに行って、

トイレットペーパーを、かなりの量取って引きちぎると、それでGをつかんで、トイレに流した。


私はGに勝った。勝ったのだ!

この勝負が今年最初で最後の決戦でありますように。


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