misakiさんはいつも取り返しのつかないことをする③

misaki19999

第1話 別売り

わかっていた。

コンビニのサラダはドレッシングが別売りだとわかっていた。


店員さんにも「ドレッシングは別売りですよ」と念を押された。


私もそれにも動じず、「大丈夫です」と返した。


なぜなら家にはピエドロのドレッシングがあるからだ。ピエドロのドレッシングは他のより、ちょっとだけ高い。そのちょっとの高さが選民意識をくすぐる。


そしてサラダと揚げたてのコロッケやメンチカツを買って、家に帰って来た。


そしてお風呂に入ってから、ハピクルサワーと一緒に冷蔵庫に入れて置いたピエドロのドレッシングを出そうとした。


だが、ない。

ピエドロがない。

なんでだ、なんでピエドロがいないのだ?

あのボトルに描かれたシェフが、

どこかへ行ってしまったのだ。歩いて。


私は考えた。そして思い出した。

前回で使い切ったのだと。

そして次にスーパーに行った時に、

買おうとしていたのだと。


そのすべてを忘れていたのだ。


取り返しのつかないことをしてしまいました。


サラダにドレッシングがない。


それは運動会の玉入れの玉がない、

綱引きの綱がない、

校庭にラインを引く機械に白い粉が入ってない、


なんで運動会に例えるのだ。

でも、そのくらい、ない。


私はドレッシングを手作りすることを考えた。

ネットで調べると、酢、油、醤油、コショウを混ぜると和風ドレッシングになるらしい。


一応、家にはブツは揃っている。

一回分だから、小皿に酢と油と醤油を大さじで一杯ずつ入れた。そしてコショウを振った。


味見はしない。一発勝負だ。

私はそれをサラダにかけて、一口食べた。


さて勝負は勝ったのか? 負けたのか?

結果は……

やや負け気味の引き分けだった。

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