三角関数を語る
@kagichan
第1話 三角関数をなぜ?
三角関数、みなさんこの言葉を聞いて、まず何を思いますか?
正直「見たくない」と思う人もいるかもしれないですね。そもそも「三角関数」って何?っていう人もいるでしょう。世の中の多くの人は、三角関数なんてあまり生活の中に出てこないので、若い人なら高校時代に痛めつけられた思い出があるかもしれないし、中年以降ぐらいになると「三角関数ってなんだっけ?」とか、忘却の彼方、なんていうこともあるでしょう。
でも、一方で三角関数が日常の仕事で何度も出てくる仕事をしている人もたくさんいます。サイン、コサイン、タンジェント…呪文のようなこのカタカナがないと生きていけない人が多数いるということです。
昔から「三角関数なんて必要ない」という意見を何度も耳にしてきました。高校数学で三角関数をやる時間をけずって、その分を道徳に回すべきなんじゃないか?そんな声をあげる政治家もいます。三角関数というのは、使わない人にとっては「意味のない魔法の言葉」。凶悪犯罪などの事件が起こるたびに、高校時代に道徳をもっとやるべきなんじゃないか、数学の三角関数を削って、人としての生き方をちゃんと勉強するべきじゃないか、という声がでます。
要するに、三角関数は多くの人にとって「なんであんなものを勉強するの?」という単元なのです。
でもね、僕は思うんですよ。そもそも三角関数が何なのか、それが世の中や社会でどういう役割を果たしているのか、それを知ったうえで、そういう声をあげてくれませんかね、と。そもそも三角関数が何なのかわからない人が「三角関数なんて不要だ」というのは、僕は違うと思うわけ。だから、僕は三角関数とはこういうものだ、という話をしたいわけ。
そもそもが、三角関数がなぜ重要なのか答えられる人がどれぐらいいるのでしょう。思うに、三角関数を語る上で絶対におさえておかないといけない重要な真実を、みんなすっ飛ばして勉強するからこんなことになるんですよ。その真実とはこの2つ。
●直角三角形はすべての図形の基本
●すべての周期関数は三角関数に分解できる
ということです。この2つの真実が何を意味しているのかは、本文でゆっくり解説したいのですが、ともかくこの事実をすっ飛ばしてサインコサインの計算法だけ勉強しても、そりゃなんの役にも立たないです。一言でいうと「三角関数は数学の王道」ということです。これをしないと、現代数学の半分ぐらいを勉強しないということになってしまいます。残念ながら先ほどの2つの真実がある以上、三角関数を避けて通るのは無理なんですよ。
で、今の高校の教科書や参考書に、そういう視点を載せるべきだと思うんです。それをしないから世の中の人は「三角関数なんて何をやってるのか、さっぱりわからん」ってことになるわけです。
まあ、とはいっても、載ってないものはしょうがないので、それを本書ではのらりくらりと語ろうと思うんです。少しずつ書いていきたいので、まあゆっくりお付き合いください。
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