第5話

 何だこれ? 由香里は目を丸くして小冊子を読み返した。ベッドに腰かけ、読みながら考える。

 女神がいないと繁殖はんしょくできずに死に絶えるってこと? 女神が病むとわざわいや争いが多発するとか? 女神は跡継あとつぎを産めないから、異世界から女性を連れてきて次の女神にするのか。

 女神の体はモルモフに拒絶反応を起こすのかもしれない。水も空気もことなる、モルモフの全てが女神にとって毒なのかも。ツガイモの精は、それを無毒化するのかな? 精を受けるって……それって……。

 由香里の脳裏のうりに、あの男達の姿が浮かんだ。欲情をたぎらせた裸の男達……。ゾワリと恐怖が背筋せすじをなで上げる。あの3人がツガイモなのだろうか? でも、だとすると、ここは……。

 もし、ここが【モルモフ界】で、あの男達が【ツガイモ】なら、この【あなた】は誰をしているのだろうか……。冊子を持つ手がふるえた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る