モルモフの女神
塩田千代子
第1章 白い部屋
第1話
ダン! ダン! ダン!
誰かがドアを
ダン! ダン! ダン!
ぼんやりと明るくなってきた……。夢から
ダン! ダン! ダン!
どんどん明るくなってゆく……。朝日?
何だろう? 音がする……。
ダン! ダン! ダン!
アズキの足ダンがうるさくて、よく聞こえないけど、この音は電波の悪いラジオのノイズ?
指先がアズキのやわらかな毛に触れた。目を開けると……なぜか視界が白一色。その中でオレンジ色のウサギ、アズキが足を
「アズキ、どうしたの?」
体がだるい……何か変。なんだか白くてよく見えない。のろのろと体を起こしかけ、異常に気づいて固まった。
白い床? 布団は? ……パジャマは⁉ ここはどこ? ここは私の部屋じゃない!
見知らぬ白い床の上に、由香里は
ダン! ダン! ダン!
それは、危険を感じたウサギのしぐさ。不意に由香里は危険を感じた。人の気配……。
顔を上げると男が三人。由香里は息を吸い込んだ。込み上げる恐怖を飲み込む。由香里を見下ろす男達の表情を、見るまでもなかった。裸の男達は
ダン! ダン! ダン!
アズキが足を踏み鳴らす。それは、仲間に危険を知らせるウサギのしぐさ。由香里は息を吐き出すと、全身の筋肉に命じた。動け!
自分でも
真っ白な壁に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます