第16話〜超常は考える
…………。
今回はさすがに相手の動きが早かった事もあって、非常時用の連絡を使った。
夜中だっていうのにすぐ集合場所に現れたところを見るに、どうやらある程度動きは掴めてたみたいだね。
それでも暗殺者を送りつけてくるのは予想外だったのか、シワの多い顔により深いシワを刻んでいる。
「……よもや昨日の今日で刺客を差し向けてくるとは。外部への情報漏洩もそうですが、頭痛の種が増えますな」
この国の宰相は苦労人みたいだね。
「侵入者2人は始末しましたが、ある程度情報は得られました。王都にある盗賊ギルドの一つで、拠点の情報と構成員についても吐かせました」
2人の遺体はすでに別の人に渡してある。
持ち物とか服からは何かしら身分とか情報が分かるものはないはずだけど、それでも一応裏取りとして調べるみたい。
まぁこの世界の武器なんかはまだ職人が一本ずつ造ってるし、見る人が見れば特徴や傾向で誰が、どの流派の人が造ったかとか分かることも多いかな。
それにたった一人の小娘の証言だけを全面的に信用するほど頭の中がお花畑なわけもないしね。
なにせ私はまだまだ年齢一桁の幼女メイド、じゃなくて暗殺者だからね。
「さすがですね。自害されてしまったのは残念ですが、それらの情報さえあればやりようはあります。さすがマグダイヤの神童。ご苦労様でした。引き続き姫様の警護を宜しくお願いします」
実際は超能力で直接読み取ったんだけどね。
あとさすがに尋問もしてないのに情報を知ってたらおかしいから、尋問途中に自害されたことにしといた。
それっぽい傷跡とかも付けといたけど、死んだ後につけたものをちょっと加工したものだから、詳しく調べられたらバレるかな?
って、聞き流したけど、マグダイヤの神童って私のこと?
…………。
まだ夜明けまでは時間があるけど、どうしようかな。
並列思考で脳を一部休ませながらも行動出来るし、身体に不調があっても自力で治せるから寝る必要はない。
どうせこのまま部屋に戻っても、姫様の抱き枕にされるだけなんだよね。
黒幕を始末してもいいけど、それは私の仕事内容には含まれてない。
依頼は裏の裏まで読み取るのが一流。
けど言われてもないことまで勝手に解釈して好き勝手するのは三流以下だからね。
『王女付きの侍女として潜入し、他国からの刺客を始末せよ』
わざわざ依頼に¨他国からの¨なんてつけるくらいだから、
あの暗殺者たちを放った大臣は黒幕でもなんでもない。
ただの操り人形。
黒幕は他にいる。
近々王国の記念行事で同盟国を招いての式典がある。
時期を考えても今回の暗殺未遂は王国の同様を誘う為の一手でしかないはず。
狙われてるのが王女って所もミソかな?
やれやれ、これからさらに忙しくなりそうだよ。
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