第15話「アダムズ迷宮洞窟地下2階手前」
やっと地下一階層のボス部屋に着き、準備を始めた。
「そう言えば、人づてに聞いたんですけど・・・経験の深い人たちの階層に同行出来るって本当ですか?」
「あ~、出来るよ。その方がレベリング出来るし多くの経験値を得られるぞ」
学生たちを助けに行けたのもそのお陰である。
「ただ、あの時も聞いてると思うけどこのダンジョンは深く潜ると地形変化するんだ」
「特殊なダンジョンですね~、ホントに」
因みにギルドで話に上がっていた通り、道中で大怪我を負った学生達が何人か回収できたので幸いにも死者は出なかったのが良かった。
「まっ、俺が助けたあの子達とは違って他の人達によって助けられた学生たちはアイツに敵意を剥いた連中だったからな」
「調子に乗ったからロクな事無かったんですね」
地下一階層のボスはギガントマッシブ。
ゴーレムの最上位に位置する魔物である。
「物理じゃ無けりゃ攻略が難しいゴーレムの王様なだけあって物理もほぼ効かないのが特徴なんだよね」
「魔王国でも聞いた事があります。魔族でも使役するのに一苦労する
その魔核を破壊するのに頑丈なボディを破壊しなければならず
更にはその魔核も魔物によっては凄く硬いときた。
「だからボス部屋に入る前に何周もしてレベルを上げないといけないって言うのが世の常識なんだよなぁ~」
「ジーク様が仰る【げえむ】と言うヤツですね!」
ボス部屋に着くまでに結構レベルも上がったし、挑んでも良いが・・・・
「心配に越した事は無い。一旦荷物整理をしようか。ボスを倒さない限り魔物もリポップしないし」
「それならさっさと準備を済ませましょう」
事前準備を済ませ―――
「さぁて、さっさとやっちゃいますか」
「頑張ります!」
扉の前の謎の装置に手を触れる。
すると、その装置の丸い球が光りを放ち、それと同じタイミングで大きな扉が開いた。
「行くぞ」
二人で初めての地下一階層のボス討伐を始めた。
「魔法の影響でしょうか?結構広いですね?」
「あぁ、それに加えてボス部屋手前までの魔物の居る場所は狭かったり広かったりするだろ?アレがこのダンジョン特有の――――」
俺が説明している手前で高い天井から大きな石が降ってきた。
どれもこれも歪な形をしていたが―――やがて魔力を発して大きなゴーレムになった。
「ヴルォォォォオオオオオオオオッ!!!」
「地形変化の一つって訳だ」
「なる―――ほどッ!」
またミューに先陣をやらせ、自分は罠や蜘蛛糸を仕掛けた。
「ホレ!ギガントマッシブ!かかって来い!」
「ヴォォォオオオオオッ!!!」
挑発に乗っかったギガントマッシブは俺を襲いに来た。
「(さて、俺が用意した罠と蜘蛛糸張りは効果が発揮するかどうかだが――――)」
俺は考えながら相手の攻撃を避ける。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ステータス一覧]
名前:ジーク/進藤 充
性別:男
職業:奇術師(25/55)
所持スキル:ブービートラップ(2/5)
トランプマジック(2/10)
罠安全解除(1/1)
不可視の蜘蛛糸(1/20)
NEW:EXスキル
EXスキル:????(不明)
EXスキル項目解放SP(3/50)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
罠安全解除があると言う事はこの先は罠が張り巡らされた場所が増えるはず。
更には自分が仕掛けた罠は自分にも対応してあるのかどうかが重要になる
「体張って試す価値はあるかもな・・・!」
ぎりぎりまで罠のある場所まで誘導し―――
「ヴルォォォォオオオオオオオオッ!」
「よっしゃ来た!」
ギガントマッシブの攻撃をギリギリで躱してわざと自分で仕掛けた罠の魔法陣に触れる。
――――が、反応しない。
「・・・!成程な!」
「ヴゴォォォオオオウォアッ!!!」
ギガントマッシブが圧し潰しをしようとしたが――――
突然、ズドォンッ!と爆発音が大きく響く。
「・・・成功したみたいだ。ミュー」
「ほ、本当ですね」
取り敢えずギガントマッシブのステータスを見てみるか
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ステータス一覧]
名前:ギガントマッシブ
種族:ゴーレム(最上位種)
レベル:30
ステータス:(550/2500)(0/0)
所持スキル:圧し潰し
マッシブアーム
突進
EXスキル:ギガントハンマー
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ギガントハンマーとか言うほぼ一撃必殺の攻撃があるとか凄いな
後、体力が思ったより多い・・・これがダンジョンのボスか
「体力がまだ・・・・まさか!」
俺はミューの所に急いで戻り
「ミュー!柱の所で体と頭を伏せて!」
「分かりました!!!」
ミューが避難したのを確認し、構える。
真ん中に穴が開いて倒れた筈のギガントマッシブが―――動き始めた。
「少しずつ回復もし始めたか・・・流石ゴーレムの王様だな!」
ただ、既に俺とミューの勝利だ。
「ヴゴォォォ―――」
「騙しの――――手品だッ!」
俺はそう言って手を握って思いっきり両腕を大の字のように広げる。
すると――――
「ヴゴギャァァァァァァオォォンッ!?」
「魔物にもその上位にも通用するかと思ったが要は魔物次第って事だな」
大きな石の柱が起き上がろうとしていたギガントマッシブ目掛けで畳みかけるように圧し潰した。
「状況はどうでしょうか?」
「問題無い。どうやら勝てたようだ」
ステータスを見るまでも無く、ギガントマッシブの気配は消えた。
「柱の外側に先ほど張り巡らせたんですね?」
「おっ、気付いたか」
そう、柱の倒壊は俺が張り巡らして置いた例の細すぎて視えない蜘蛛糸を内側に全部倒れるように仕組んだのだ。
「それと・・・魔物自ら壁やあぁ言った柱に攻撃をしなきゃ倒れたりはしねぇのよ」
「あ~、もしかしてかなり硬質のよい石で出来た柱なんですね?」
俺は頷く。
「・・・そんじゃま、さっさと宝を拝見してからセーフルームに入るか」
「ですねっ!」
結構ダメージも食らったからポーションを口にして回復しながら宝を漁る事にした。
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