金、金、金
仲仁へび(旧:離久)
第1話
うちの学校には、金持ちが一人かよっている。
金実束数。
かねみのりたばかず、とかいう名前の男だ。
普通に金持ちたちの学校に行けばよかったのに、自慢したいからとかいうアホな理由で、俺たち庶民の学校に通ってる。
そいつは、ことあるごとに金の力を発揮するんだよな。
修学旅行があれば、豪華食材で弁当つくってきたり、
文化祭があれば、高級素材で展示品を工作したり、
体育祭があれば、高品質の運動靴や服を着てきたり。
まあ、こう見ると嫌な奴なんだけどさ。
どこか、憎めないやつなんだよな。
登校中、俺は、やつの姿を見かける。
わざわざ、探す必要なんてない。
金ぴかの車にのって、金ぴかの服をきて、金ぴかのカバンを持っているから、遠くでも目立つんだ。
で、そいつの乗った車は、急に飛び出してきた子供をよけるために、急ハンドル。
プロのスタントも脱帽もののドライビングテクニックで、運転手は子供を神回避した。
そのおかげで中にのってる金ぴかのやつは、あちこちぶつけてたんこふ作ってるけど。
「ごっ、ごめんなさい!」
助かった子供が青ざめている。
急にひかれかけたと思ったら、その車が超金持ちそうな車だもんな。
何も知らない頃の俺だったら心臓とまってる。
「ふん、急に飛び出すとは、教育のなってないガキだな」
すると、車に中にいた金ぴかが、たんこぶを頭にのせながら窓を開いた。
そして、名刺と札束と応急キット、ついでに子供の好きそうなお菓子を放り投げて、嫌味な金持ちっぽい笑みを浮かべた。
「俺の乗ってる車で怪我でもされては気分が悪いからな。それで病院にでいっておくんだな」
あっ、あのおかし、今流行してるやつだな。
悪役になりきれてない悪役を見てる気分だ。
ともかく、本当にけがしてたらまずいので、子供に話しかけに行く。
あいつはさっさと車で走り去ってしまった。
一応救護しとけよ。そういうとこは悪役だぞ。
「大丈夫か。よし、立てるなら問題ないだろう。まあ厄介な奴に絡まれて災難だったな。ああ見えて後で怒ったりしないから平気だぞ」
俺は子供の服についた砂を払って、立たせる。
とても信じられないみたいな顔されたけど、あいつがほかったお菓子(レア包装、レアおまけ入り)をみせたら納得してくれた。
そう見た目はあれだけど、性格はそんなに悪い奴じゃないんだよ。
見かけはほんとにあれだけど。
金、金、金 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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