人がいない場所に行きたい

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 飛んでいきたい。


 この背中に翼をはやして、誰もいない場所にいきたい。


 たまにふとそう思う。


 都会って、身の回りに人が多すぎるよね。


 知らない人ばかりならまだ気が楽だけど、知ってる人に出会うこともある。


 そんなことが連続して続くと、なんだか監視されてるような気分になってくる。


 だからときどき、そういう環境に疲れちゃうんだ。






 必要最低限の荷物を持って、電車に乗ってみた。


 目的地は決めてない。


 なんとなく降りたくなった駅で降りよう。


 そんな感じで、ゆらゆら揺らされてる。


 乗り物の揺れは眠りを連れてくることもあるから、知らない間にかなり遠くに行っちゃうこともある。


 けどいいんだ。


 そんな出来事も、思い出になる。


 降りた駅に観光地があれば、そこを巡る。


 なければ地元の人に聞いて、適当なお店に入ったり、散歩したりする。


 秘境ならもっと良し。


 誰もいない場所で心のままにのんびりすごす。


 知らない人と話したり触れ合うのはなんだか新鮮で、いったことのない誰もいない場所でのんびるするのはとっても気楽で、気分がリセットされる感じ。


 そうやって、すごしたあと。


 また帰ってきて元の日常に戻る。






 人間だから予定とかあって、思いついたときにはどうしても行動できないときもある。


 翼なんて生えてないから、ぱっとすぐに移動はできないけど。


 不便があるから楽しいと思えば、


 いつもと違う日を楽しめるし、


 カレンダーの中に楽しみをこめられるし、


 電車の中で贅沢にお昼の居眠りだってできる。


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