今は昔。ー3ー



 このちご、養うほどにすくすくとおおきになりまさる。三月ばかり立つほどに、よき人になりぬれば髪上げなどかくして髪上げさせ、裳、着す。



 …これしかない。

 これ以外にあるか?告白のチャンスが。無いだろう、風間裕太。今だ!

「竹取さん、あの…」

「何?」

「ここの意味、分かる?」

 教科書の「いとうつくしうていたり。」という一文を見せる。

「ここ…何だけど。」

「うーんと…分かんないなあ…」

 良かった。よし!伝えるぞお!

「え…えと…ここはね…『とてもかわいく座っている』って意味で。まるで、今のかぐやさんみたいな?」

「…え?」

 ヤバい!かぐやさんって言っちゃった!しかも最後の疑問系何!?ああああ、顔赤くなってないかなあ…絶対熱いよ。


 しばらくの沈黙。

「え…えとだから、その………竹取さんのことが…す、好きです。」

「ふぁえ?」

「付き合ってくれますか………?」




 どうか、届いてほしい。「はい」と返事をしてほしい。好きだから。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る