だって怖かった

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 こぶしをぐっと握りしめて、布団から出る。


「今日こそは一人で行けるはず」


 僕は気合いをいれて、夜の暗闇の中、目的地に向かって歩き出した。





 三秒後、


「やっぱり無理!」


 だって、怖かった。


 夜の廊下が怖かった。


 壁にかかってる絵がお化けの絵だったから怖かった。


 天井のシミが顔みたいにみえて、すっごくみえて怖かった。


 窓の外で野良猫がごそごそしてる音が怖かった。


 途中にある、電気が自動的につく場所が心霊現象みたいで怖かった。


 洋服掛けが、ひとりでに動き出しそうで怖かった。


 夜の家は、暗くなると、なぜか暗くなるだけで、つまり怖いものがいっぱいになるんだよ!





「おねえちゃん、いっしょにトイレいってよ」

「一人で行きなさいよ」

「無理だよ、だって怖かったんだもん!」


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だって怖かった 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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