6月29日 様々なメシ、様々な人間

 ここ一週間ほどで様々な人間に会い、様々なメシを食った。

 まず編集さんにお会いした。角川ミュージアムに行ったのだ。凄い面妖な建物だった。全体が重たい鈍色で、緩やかにねじれながら上に向かって聳えていた。おけら火がそのまま鉱石化したような雰囲気だった。京極夏彦先生がその前で写真を撮っていたらしい。

 この角川ミュージアムのある一帯は、ところざわサクラタウンという名称がついていた。店が色々と並び、すぐそばの道の駅にも直結していた。道の駅は狭山茶関連の商品がたくさんあった。狭山茶産地があの辺りだと言うことを私は初めて知った。

 角川食堂という食事処があった。ここはカレーがとても美味いらしかった。実際美味かった。あまり食べたことのない味わいだった。出汁っぽかったので和風なんだと思う。ライスの回りには様々な具材が乗っており、トッピングが2種類自由に選べた。よくわからなくて野菜盛りとガーリックチップにしたが美味かった。魚介カレーにしたため、揚げた海老が乗っており、これが頭からすべて食べられてよろこんだ。海老の頭、海老の中でいちばん美味い。

 編集さんの乗せていたパクチーが気になった。パクチー、おそらく食べたことのない食材である。でも私は食材をじろじろ見ないので、パクチーと知らずに食べている可能性はある。

 角川ミュージアムの中はBL展をやっており、こちらも編集さんと見た。本棚劇場という一角には不能共も置かれてあり、ちょっと照れた。


 その日の夕方、ぼんやりしながら電車に揺られていたところで相互フォロワーのきみたりさんと晩飯を食べることになった。ちょうどいい感じのところにいたようだ。奥様である瑠璃さんとお出掛け中のようで、ご夫妻揃って挨拶をさせてもらった。ところで最終電車が中々迫っていた。まったくゆっくりできずに申し訳なかった。長くはない食事の間に不能共の感想もいただき、とても嬉しかった。

 ご夫妻とはラーメン屋に行った。実はラーメン、あまり好きではないのだが、つけ麺は好きなのでついていった。つけ麺はたいへん美味かった。昼間のカレーと同じく和風の出汁が効いていた。

 小松菜らしき緑色の野菜が乗っていた。ほうれん草かもしれないので、食べて判断しようとした。わからなかった。でも大体同じだと思い直した。小松菜(暫定)をつけ汁に放り込んで麺と共に食べると、野菜の苦味に濃厚出汁の風味が乗って絶妙だった。

 つけ麺のつけ汁を割って飲むあの文化が好きだ。初めて出会ったとき、の……飲んでいいの!?と思わず聞いた。なので、張り切って割ろうとしたが、割り出汁がなかった。仕方ないので原液で飲んでいたら、本当は机のすみに置かれてあった。原液を飲む姿を見せてしまった。

 きみたりさんと瑠璃さんには駅までも案内してもらい、お土産にとディップ式のコーヒーをいただいた。喜んで飲んだ。こちらもとても美味い……というか香りが物凄くいい。袋を開けた瞬間から漂う芳醇さ。陽射しの匂いに溢れている。おすすめです。


 それから四日ほど経った昨日、相互フォロワーであるりしゅうさんに会った。ひつまぶしを食べようという会合だった。爆速でひつまぶし屋に向かい、爆速で注文した。メニューのページをでかでかと埋める、おそらくスタンダードだと思われるひつまぶし、ふつうに生活していたのであれば注文しない値段をしていた。

 ひつまぶしは食べ方があるらしい。セットでついてきた海苔の袋に書かれてあった。はじめは混ぜてふつうに食べ、次はセットの薬味をかけて味変で食べ、最後に出汁をかけて食べるという。そのようにした。

 私は海苔が好きなので、海苔をわさわさかけて食べた。鰻はとても柔らかく、出汁をかけての食べ方がやはり一番合っている気がした。山葵を少し乗せての出汁かけが食べやすかった。おそらく単調になりがちなひつまぶしに刺激を添える存在。サークルの姫みたいなものである。

 姫といえばりしゅうさんだ。せっかくなので色々と話をした。不能共を読んでくれたようで、りしゅうさんにも感想をいただいた。お土産までもらった。至れり尽くせりだ。サカモトデイズの話もできて、世界でいちばん透き通った物語の話もした。こちらもそう長い時間ではなかったが、楽しい時間を過ごさせてもらった。

 新幹線の乗り場まで案内できたので安心した。名古屋駅、何度来てもよくわからない駅である……!


 さて今日、いつもの配偶者といつものサイゼリヤに行った。モツ煮込みが消えていて、ショックを受けた。アラビアータに更にチリソースを振り掛けると予想以上に美味かった。

 今のサイゼリヤまちがい探しは異様に難しい。まったく見つけられず、落ち込んだ。次回こそはすべて見つけ出したい。

 サイゼリヤはいつ行っても安定してうまいので安心した。また来たい。


 諸々お付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。

 また会いましょう。

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