第6話 甘々食べさせ合い

「では改めて、ごゆっくりお過ごしください」


俺達の戦いが始まった。


「は、はい!唯人、あ〜んっ」

「あ、あ〜ん」


死にたい。

客がいない分、先程の店員や他の店員からニヤニヤした目で見られている。


「次は唯人の番だよっ!」

天音が照れながら口を開ける。


やばい。

今から天音が俺が使ったスプーンを口の中に入れる。


「じゃ、じゃあいくぞ!はい!あ〜ん」

「あ〜んっ!」


俺がパフェが乗ったスプーンを天音の口に運ぶと、

互いの顔がみるみる紅潮していった。


こんな調子でパフェを食べ進めていき、遂に最後の一口も食べ終えた時、店員に声をかけられた。


「はい!完食をしていただいたので、記念に写真サービスを致します。さあ!立ってあそこに並んでください!」

「いや、大丈夫でs「そんなこと言わずに!」


押し切られてしまった。


「じゃあいきますよー!はい!チーズ!」


店員がシャッターを押す瞬間、天音が体勢を崩してしまい、俺が天音を抱き寄せる形になってしまった。


「まあ!今まで撮ってきたカップルの写真の中でも一番甘々な写真が撮れました!では、カラーでプリントしますので少々お待ちください」

「いや、別に俺はいいです」

「私は‥‥欲しいです」


マジか。天音が俺とのツーショット写真を欲しいと言ってくれている。

「じゃ、じゃあ俺ももらっていいですか?」

「かしこまりました!早急にお作り致します」


3分後、店員が戻ってきた。

二枚の写真がわざわざ写真立てに入っていた。


「ここまでしてもらっていいんですか?」

「いいんですっ!私もいいものを見せてもらいましたし!」

俺が問いかけると、店員が満面の笑みで返答した。

この人、入店した時から思ってたけど美人だよな〜。

俺がそんなことを考えていた矢先、天音が俺の二の腕をつねってきた。

「唯人‥‥店員さんにデレデレしすぎ‥‥」

天音の拗ねた表情に、不意にドキドキしてしまう。

「ふふっ!」

店員が俺達を微笑ましそうに見た後、写真を俺達に渡してくれた。

「えへへ」

天音がニコニコしながら写真を見つめている。


こいつ、こんな表情するのか。

天音がここまで嬉しそうにしてるのを見たのは初めてだ。


そんなこんなで俺達は店を後にした。


「ねえ、唯人」

「なんだ?」

「また、二人で来ようねっ!」 

「ああ」


バカ、お前とならいつだって行ってやるよ。


俺の幼馴染のかわいさは世界一かも知れない。

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