俺と幼馴染の青春日和

赤助

第1話 俺と幼馴染の朝

「唯人早く起きろー」

今までに何度も聞いた、気怠げな声が部屋中に響く。

「あと五分」

「そうやって昨日も遅刻寸前だったじゃん。おばさんに頼まれてなきゃ私だって寝たいよ。」

「いつも感謝してるよ。わかった、今起きる」

重たい体を起こすと、整った顔立ちの美少女がベットの横に立って眠たそうに目を擦っていた。

俺の名前は片山唯人(かたやまゆいと)ごく普通な高校2年生だ。

この美少女は如月天音(きさらぎあまね)。俺の幼馴染で俺と同じ高校2年生だ。

そして先ほどにも言ったように天音は幼馴染の贔屓目で見なくても可愛い。

整った顔立ちにスラっと伸びた細い足、引っ込むところは引っ込んでて出るところはそこそこ出ている。

100人に天音が美少女か聞いたら少なくとも99人は頷くだろう。


階段を降りてリビングに行くと、テーブルの上に禍々しいオーラを放つ黒い物体が鎮座していた。

「天音。また失敗したのか」

「だって仕方ないじゃん。唯人朝は何も食べないから心配なんだもん。」

俺が問いかけると、天音は頰を膨らませて返事をした。

天音は昔から料理が壊滅的に下手だ。

俺が最初に天音の手料理を食べたときは正露丸を持ったまま震えて寝てたな。


まあせっかく作ってくれたから、いつも通りいただくとするか。

俺は貪るように天音の暗黒物質を平らげると、すべて口に含んだまま牛乳をがぶ飲みした。

これが俺が長年をかけて編み出した天音の手料理の対処法だ。


「唯人って変なところで優しいよね。要らないなら私が食べたのに」

「俺は優しいんじゃなくて義理堅いんだよ。たとえ不味くても天音が折角作ってくれたものを食べないわけにはいかない。」

「あっ!不味いって言った。でも唯人のそーゆーとこ好きだよ」

天音が俺に微笑み掛けてくる。


不意にニヤついてしまった。こういうところでドキッとさせられるんだよな。


「ねえ、なんで私は料理下手なのにいつも唯人に朝ご飯作るから分かる?」

天音が急に質問してきた。そう聞かれたら答えは一択だろう。

「俺の親に俺の健康管理頼まれてるからだろ」


俺の両親はほぼ会社に住んでるような生活をしていて、週に1、2回しか家に帰ってこない社畜の鑑のような生活をしている。

俺は親の勤めている会社の方向(適当)に向かって敬礼をした。


「それもあるけどー、一番は唯人に私の一番近くで私の成長をみてて欲しいからっ!」

天音はそう言って俺に満面の笑みを向けた。

「・・・っ。」

俺の顔が見る見るうちに真っ赤になった。

「あっ!今照れてるでしょー!もー私の幼馴染くんは可愛いんだからっ!」


ほんとうに可愛いのはお前だろうが。馬鹿。


そんなこんなで俺たちの朝は過ぎて学校に向かった。

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