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夕暮れ時になると、洞窟の部屋の前で、みんなで焚き火を囲んで食事をする。
それが日課になっている。
火起こしは私の担当。というか、指示するだけなんだけどね。
最初にやってみせたときは全員、呆気にとられていたっけ。
なんのことはない。ルシウスの水魔法でレンズを作ってもらって、光魔法の光源を収束させたというだけ。燃やすおが屑は、アスラとディーヴァの爪で木を削ってもらったものを、シクレアの毒鎌で更に薄くスライスして作り上げている。
シクレアはピクシーに進化して両手の鎌は失ったけれど、スキルが残っている。使ってみてもらうと、以前の鎌が、死神が持っているような形に加工された状態で出てきた。それを使って鉋掛けするようにスライスしてくれたという訳だ。
ちなみに毒は火で消えるらしいので、害はないらしい。
そうじゃなきゃ頼まないけどね。
という感じで、火はみんなで協力して得たんだけど、私が一番もてはやされた。
そして、それは今も続いている。
「何回見ても慣れないよ。水と光で火が起こせるなんて」
ルシウスが難しい顔で焚き火を眺めて呟く。その周囲をシクレアが飛び回る。
《やっぱり興味深いわ。説明されても理解できないもの》
《星の使者様の御業。何度見ても驚かされます》
私は木の串に刺してある魔物の肉を火で炙ることに真剣。受け答えしたいけど、それどころじゃない。失敗すると台無しになっちゃうからね。
「あい、焼けちゃよ。ルチウちゅ」
「ありがとう。ノインには驚かされてばかりだよ」
焼き上がった串焼き肉をルシウスに渡して、次は自分の分を炙る。
アスラとディーヴァは生のままで食べる。だけど、念の為に浄化を使ってもらってからにしている。お腹が痛くなったら大変だからね。
私とルシウスの分も、浄化が掛けられているので生で食べても平気。なんだけど、やっぱりお肉は焼いた方が美味しい。生焼けでも安心っていう保険みたいなものだ。
味付けは、ルシウスが持っていた塩と、私が摘んだ香草だけ。
アスラたちが食べる生肉の方にも揉み込んである。
最初に用意した日から、みんな私が用意したものしか口にしなくなった。今まで食べていた物とは比べ物にならないくらい美味しいと褒めてくれる。
シクレアは好奇心旺盛で、私とルシウスの串焼きに興味津々だった。少し分けてあげたら、それからずっと自分で用意して勝手に炙って食べている。
《興味深いわ。やっぱり焼くのも悪くないじゃない》
だ、そうだ。仲間の中で一番自由気ままなお姉さんだと思う。
私の中に入れば、魔物たちの分は食事があるから、食糧の無駄遣いなんだけど、やっぱりみんなで食べた方が美味しいし、モフモフを背もたれにするのは心地いいのよ。
だからこれは、必要経費みたいなものよね。そういうことにしとこう。
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