迷迭賦

迷迭賦(迷迭はローズマリー?曹丕に唱和)


立碧莖之娜妸,舒彩條之蜿蟺。下扶疏以布濩,上綺錯而交紛。匪荀方之可樂,寔來儀之麗閑。動容飾而發微,穆斐斐以承顏。


茎はたおやかに青々と立ち、枝はのびのびとあざやかに広がる。下はあまねく広がり、上は絡み合う模様が美しい。これは荀方の楽しみではなく、まさに鳳凰が現れたような美しさだ。動けば微細な動きが容姿を彩り、鮮やかな模様から漂う豊かな香りを顔で受け止める。


(荀方之可樂ってなに??)

(七、八句目は司馬相如「子虚賦」の「郁郁斐斐、衆香發越」を踏まえているby狩野雄「迷迭の賦をめぐって――建安文学における芳香表現の一斑」三国志学会『三国志研究』第三号(二〇〇八年九月)より)


迷迭賦補遺


竭歡慶於夙夜兮

雖幽翳而彌彰


事罔隆而不殺兮

亦無始而不終


喜ばしい気持ちを日の出前の夜に尽くし

楽しい気持ちを覆い隠そうとすればますますはっきりしてくる

物事は栄えても滅びないことはなく

始まったもので終わらないものはない

(左傳の昭公三十一年に「欲蓋彌彰」の語あり。真相を隠そうとすればますます露呈するという故事成語っぽい)


馨香難久 終必歇兮

棄彼華英 收厥實兮


よい香りは長く続きづらく、最後には必ず消えて無くなる。

迷迭の花は捨てて、その種を収穫しよう。


(收厥實兮→時代全然違うけど清末民国初 · 沈曾植の「答若海 其二」五句目に「高枝果落终收实」とあり、果と区別されているのでこういう時の実は種のことかなと推測)

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