第101話 バカップルは斜め上を落ちていく(8)

 ミナの煽りに、ラヴクラフトの顔が、カッと熱くなった。

 当然イッサクも、この公開セックスを見ているはずだ。

 いや、見ていなければならない。

 見せつけてやらないといけない。

 奴に本当の愛というものを教え、完全勝利しなければいけない。



 それなのにミナは退屈し、ラヴクラフトの愛の表現は、いまだ萎えて下を向いたまま。

 このままでは、またイッサクにミナを奪われてしまう。

 強烈な不安が、ラヴクラフトの脳裏に、トキハのかつての嘲笑を呼び起こした。

 ラヴクラフトが、初めて落とせなかった女の嘲りが、耳の奥でクワンクワンとなりだした。



 自分を見下した王女を許せない。

 ミナを奪った王を殺したい。

 力が欲しい。

 なんでもいい。

 王族を滅ぼし、ミナを支配する力が。



 不安、焦燥、怒り、恨み。

 濁った感情で頭がどろどろになるラヴクラフト。

 その背中を、ぞわりとした悪寒がなでた。

 みると、いつのまにか、ミナがラヴクラフトを見つめ、笑っていた。



 その笑顔に、ラヴクラフトは顔がすっと冷たくなるのを感じる。

 ミナの目が紫色に光り、口元には知らない笑みが。

 それは幼なじみの恋人の笑顔ではなく、女神の微笑みとも違う、まったく知らない女の、初めて見る嬌笑だった。



 ミナは体を起こし、ラヴクラフトの首筋に嬌笑する唇を押し付けた。

 ミナの唇は、ラヴクラフトの鎖骨、胸、臍をねぶると、上目遣いにラブクラフトを見つめた。



 ドグン。



 ラヴクラフトの中で、何かが脈を打った。

 ミナの視線は溶かされるように熱く、どこまでもラヴクラフトを飲み込もうとしてくる。

 ラブクラフトはミナに食べられてしまうような恐怖と、倒錯した快感を覚えた。

 すると、それまで完全に沈黙していたものが、力を得はじめた。



 待望のみなぎりに、ラヴクラフトは「おおおお」と感極まり、声を上げる。

 だが、みなぎりはそこでとどまらなかった。

 ドグン、ドグンとなにかが脈打つたび、みなぎりがラヴクラフトの体の中を迸っていく。

 それは圧倒的な力だった。

 ラヴクラフトが願った、王女を見返し、イッサクを殺し、ミナを取り戻すための力。

 ミナの嬌笑がラブクラフトを見つめている。



「ああっ、ミナ!」



 ラヴクラフトは両手をミナへと伸ばした。

 みなぎりが体中から外にあふれ出て、そして、その力は、ラヴクラフトの体を一瞬で作り変えてしまった。




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 いつも読んでくださり、ありがとうございます。


 近況ノートにも書いておりますが、運営より、性描写を修正するよう警告を受けました。


 猶予期間が短いため、当該箇所を削るという修正を行いました。結果として読みづらい箇所ができてしまったかもしれません。皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ありません。


 

 今回の第101話も、それはもう、〇〇な描写でしたが、警告を受けこのような形に修正しております。

 ミナがナニをどのように行ったのか、皆さまのご想像におまかせすることといたします。



 完結するまで、公開停止などならないよう、気をつけて書いていてまいります。

 ぜひ、最後までお付き合いいただけますよう、よろしくおねがいします。

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