第6話 恐怖には勝てなかったよ……

 不気味な洋館。どんどん暗くなっていく景色。恐ろしいほどに静まり返った雰囲気。まるでホラー映画の一場面のようなシチュエーションに、俺の心臓の鼓動がどんどんペースを上げていく。

 ここにいたら命の危険が危ない。直感がそう告げていた。そして、俺はその指令に素直に従う選択を選ぶ。


「お、お邪魔しましたァ~……」


 俺は小声でそう言うと、抜き足差し足忍び足で出入り口の門まで歩いていく。途中でカラスが大きな声で鳴き始めて、ムチャムチャビビったりもした。ただ、アクシデントと言えばそのくらいのもので、無事に俺は門に辿り着く。

 そこからはダッシュで自宅まで走って帰った。幸い、家に着くまで何事も起きる事はなかった。多分助かったのだろう。そう信じたい。


 とは言え、やはりあの時に聞いた悲鳴は気になっていた。そこで翌日、俺はまたあの洋館に向かう事にする。記憶を辿って歩いてみたものの、辿り着いた場所にあったのはただの空き地。門に見覚えがあるから、場所は間違ってはいないはずだ。

 ただ、門から先の景色が昨日と全然違っていた。館も庭も何ひとつない。昨日のあの出来事がまるで夢だったかのように、全ては謎で終わってしまったのだった。



 謎は深まるばかりエンド



 あとがき

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330650007697190

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