第15話
俺の下に広がるのは灰色の世界。
死んだ大地。
生を渇望する海。
全てに絶望した空間。
俺が奪った世界。
俺が奪わされた世界。
俺が手をかざすと全てのものが俺への怨みからか俺を殺そうと睨んで来る。
世界で唯一の生きているもの。
俺は手に持っていた何かを首に突き立てる。
今までやっていたように。
これで終わりだ。やっと。
これでこの世界から開放される。
全ての怨が開放される。
渇いた音があった。
俺の意識はまだここに存在している。
先程と変わらない景色。
なんで、なんで、なんで。
叫んでも声は鳴り響かない。
何回も何回も首にそれを突き立て続ける。
それは自分の腕なのかそれとも凶器なのか、俺には分からない。
ただ、唯一分かるのはそれが俺を殺す事が出来るということだ。
痛みは無い。痛みなどとっくの昔に奪い去った。
意識が消えていくのを感じる。
感じる、久々の感覚だ。
俺は久々の感覚に身を委ね、意識の消失を待ち続けた。
「かはっ!」
俺はベットの上で目を覚ました。
変な夢でも見ていたのか、目覚めは最悪だ。
久々の
近況報告をしよう。
箱を開け始めて2週間がたった。
一番最初に要らなくなったのは睡眠だ。ショートスリープが昇格し、不眠になったからだ。これのおかげで寝なくても疲労が溜まらなくなった。だが、怪我などは寝た方が治りやすい様なので、怪我などをした時にはすぐ様寝る事にしている。ものの数分眠るだけでかなりの大怪我も治ってしまうというのは少し不気味なものだ。
次に要らなくなったのは食事だ。これを先にあげるべきだと考えた俺は1週間くらい経った時にお腹が減ってきたため、その時に少食のレベルを上げておいた。そして、昇格した先が断食だ。このスキルの効果で俺はお腹が空かなくなった。なのであの時奪ってきた缶詰はそのまま食べないで取っておいてある。
おっと、それよりもまずは箱をあけなくては。
箱を持ち上げ、この2週間で編み出した最速の開け方で箱を開ける。
効果音を当てるとすればスコココーン! などとなっていそうだ。だんだんベッドの上が箱で埋まっていく。
開けなければいけない箱の数はどんどん増えていき、今ではスキルを何個かあげようとすれば壁一面が簡単に埋まってしまうほどの数の箱が必要になった。
さすがに邪魔なので、この建物に元々備えつけられていた地下室に押し込んでいる。元々そこは物置として使われていたため、こんな使われ方をされて地下室も本望だろう。
何個も開けているうちに頭の中に声が鳴り響いた。
【スキル《完全再生LV4》を入手しました。】
これは再生が昇格して獲得したスキルだ。このスキルの効果は名前の通りに、傷を完全に再生すると言う効果だ。再生の時は傷が再生したあとは傷跡が残ってしまっていたが、完全再生になったあとは綺麗さっぱり治ってしまった。それに回復速度も早まった。前は2日くらいかかって完全に治ったが、今では1時間ほどで治るようになった。それに、寝たら数分で治る。
なんか、キモイ。
だが、有用なのは間違いない。それだけならいいのだが、これをあげるためには傷だらけからの超速回復をしなければ行けないということだ。
簡単に言うと、ナイフで身体中を切り刻み、眠り、回復して起きるとレベルが上がるという方法でしかレベルが上がらないのだ。
これだけは本当にやりたくない。
というか、これをやろうとする度に完全再生が上がる前に耐久が上がってしまって、根気に昇格するという事象も発生した。
それだけ痛みに耐えなければいけなくなるということだ。こんな事するなんて普通の人間じゃ考えられないが、生存率を高めるためだ。やむを得ない。それにどうせいつか取らなくてはならなくなる物だろうから先に取っておいても変わらないだろう。
だが、もうそろそろ一旦ストップしようと思っている。流石にキツすぎるからな。
そして、結構頑張って手に入れたスキルはこんな感じだ。
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