我が麗しのレムリア

のいげる

レムリア賛歌

 ああ、我が麗しのレムリアよ。


 そは壮麗にして繊細、優雅にして荒々しく、流暢にして華麗、そして永遠に輝く美なり。


 ああ、我が麗しのレムリアよ。天に挑戦する人類の偉業よ。


 塔という塔には華麗な旗が翻り、王宮から溢れ出る輝きは眼下に広がる市街をもまた満たし、その威光に目がくらむ。

 毎夜開かれる舞踏会には煌びやかな貴族と裕福な市民が共に笑い、共に輝き、無数のロマンスの花が尽きせぬ喜びを与える。

 下町の酒場には喧噪と喧嘩が絶えず、売春宿では女たちの嬌声が上がる。庶民は自分たちのお楽しみにふけり、生の喜びを謳歌する。


 ああ、我が麗しのレムリアよ。眠りを知らぬ素晴らしき帝都よ。


 帝国中から集められた素敵なものは、歩き尽くせぬほど広き街の市場へと集められ、人々の目と耳と舌を楽しませる。青年たちは野望に燃え、娘たちは恋に堕ちる。

 磨き抜かれた甲冑を着た金の儀仗兵たちが、街の通りを闊歩する。

 空を往くは竜騎兵の一群。口吐く炎にて夜空を彩り、天威を示す。

 軍楽隊は尽きせぬ調べをまき散らし、偉大なる英雄たちの物語を紡ぐ。


 ああ、我が麗しのレムリアよ。命の輝きは汝のもの。


 青も鮮やかなバジュイの果物、黒の黒たるレンの果実、甘やかなるムーのサプロ実、色とりどりの商品を満載して、山とも見紛うダンダビュロスの荷獣が地響きを立てて歩む。賢者の一団の横を、誘惑の匂いを撒き散らしながら花の女たちが微笑みながら歩く。色鮮やかなボールを投げ上げながら、道化師たちが金貨を求めて競い合う。



 ああ、我が麗しのレムリアよ。

 夜ごとの夢に苛まれ、顔を覆いし両手の中にて涙する。

 汝はいま、いずこなりしや?

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