カフェ屋の店員さんに半年間振られ続けてる俺ですが最近振られるまでにためがあるような気がします。あの〜顔を赤くしてどうしたんですか?
タカ 536号機
第1話 今日も
俺は今日もとあるカフェ屋に入る。すると見慣れた顔の人が挨拶をする。
「いらっしゃいませー南沢さん」
「あれ? 相田さん久しぶりですね」
「そうですね。ちょっと体調崩してて」
「そうんなんですか。言ってくれればお見舞いにでも行ったのに」
「なーにバカなこと言ってるんですか。 ……それよりも今日も美月ちゃんを見に来たんでしょ?」
相田さんが少し恥ずかしそうにしながら頭をかいた後、少し真剣な
「当然ですよ」
「ブレないなぁ。本当に一途ですよね。もう何回振られてるんでしたっけ?」
「47回だった気がしますね」
「そんなに!? はぁ、本当によくめげませんねぇ。私が南沢さんだったらそこら辺の女で妥協しちゃいます。例えば私クラスの。私クラスの!」
「相変わらずリップサービスが上手いですね。……それよりも美月さんってどこですか?」
「……本当にブレませんねぇ」
当たり前である。俺がこのカフェ屋に何のために通ってると思っているのだろう。
少し呆れた顔で相田さんは歩き出すと俺を案内する。
「はい、この席に座ってください。美月ちゃんが注文取りにくるようにしておきますんで」
「ありがとうございます!」
「……うっうぅ。……まぁ、美月ちゃんの為でもありますからあんまり気にしなくていいですよ」
「?」
相田さんは最後に少し意味不明なことを吐くと他のお客さんの方へ行ってしまった。
美月さんの為ってどういうことだろう?
そんなことをぼんやりと考えていると肩を叩かれる。慌てて振り返ると。そこには俺にとっての女神である美月さんが立っていた。
「南沢さんいらっしゃいませ。……今日もですか」
「はい。美月さん今日も偶然お会いしましたね」
「私が働いてるカフェ屋に来ておいてよく偶然とか言えましたね」
「偶然は偶然でも運命的な意味で言えば必然と言うわけで」
「南沢さんがこのカフェ屋に来て私を探してるんですから会うのが必然という話なんですが!?」
「運命のどす黒い赤い糸で結ばれてるんですよ」
「なんでどす黒い足したんですか!? ねぇ!
結婚した後殺人事件とか起こりそうな気がするんですけど」
「美月さんと結婚……かぁ」
「……そこ! あり得ない妄想で期待に胸膨らませないでください!」
やや高めのテンションでのツッコミが入る。
本当に今日も美月さんは可愛いなぁ。
「で、注文はなんですか?」
「ブラックコーヒーにイチゴパフェで」
いつもならブレンドコーヒーにするのだが今日の俺は一筋違う! ブラックコーヒーを嗜む大人な俺で今日こそ美月さんのハートを仕留めるのだ! どうですか? 少しは感心して……。
「あれ? いつもはブレンドコーヒーでは?」
「ま、まぁ」
「……まぁ、いいですが」
ない。表情変わらず。今日もダメそうかぁ。
「では」
そしてそう言うと俺の前から去っていってしまう美月さん。あぁ、もう少しお話したかった。非常に残念である。まぁ、頑張って接客してる美月さんを見ることにするか。
「そこ! 見ないでください」
少し離れた所からよく通る声が聞こえてくる。
「気づかれてる!?」
「南沢さんはいつもですから分かりますよ」
「脅威の感覚!」
「こんなこと出来るの南沢さんに対してだけですよ!」
客の一部は少し俺と美月さんに注目し、客の一部の常連客はいつもの光景に「これだよ。これこれ」と温かい表情を見せる。
いや、俺が振られるのが当たり前みたいな雰囲気になってるけど今日は分かんないじゃん! オッケーかもしれないじゃん!
常連客達(ムリムリ)
いや、俺今心の中で言ったんですが!? なんでお前らそれに反応してるわけ?
そして当たり前のように俺の脳内に直接話しかけないでくださるかな。
常連客達(つい楽しくて)
つい楽しくてテレパシー出来るお前らなにもんだよ! あぁ、こんな馬鹿どもに構ってる場合じゃない。美月さんは……っと。
「こ、困ります」
「いいじゃんかよ」
見ると美月さんは大学生のいかにもチャラそうな男に絡まれて腕を掴まれていた。
……またか。
俺はすくっと立ち上がるとそこに近づいていく。
「美月さん、偶然ですね」
「なんだてめぇ」
美月さんの腕を無理矢理掴んでいるゲス男に絡まれるが無視。俺は美月さんに用があるんだよ。野郎になんざ用はねえっての。
「な、南沢さん。ダメですよ!」
美月さんは慌てて俺を止めようとするが腕が塞がっているため止められない。
「美月さん」
「は、はい?」
「お前、無視してんじゃねぇぞこの野郎!!」
またもゲス男が絡んでくるが無視。俺は精一杯ためると大きな声で目の前の美月さんに伝える。
「付き合って下さい!!」
「ごめんなさい」
シーン となる店内。ゲス男もポカーンとしている。
「そこをなんと______」
「ごめんなさい」
「まだ言い切ってないのにぃぃ」
クソ、今日もダメだったみたいだ。おい!なんだゲス男、その哀れみの視線はお前はさっさと美月さんの手を離さんかい!
「ちっ、しゃあねぇな。ちょっとスカッとしたから今日は大人しく帰るとするよ」
「あ、ありがとうございます」
ゲス男の方は俺がバッサリと切り捨てられたのを見て怖くなったのか、立ち上がると伝票を持ってレジへと向かっていく。よし、これでオッケーっと。俺もここにいたんじゃ周囲の目が痛いし去るとするか。
「あ、あの南沢さん」
そんな俺を見て美月さんが声をかけてくる。
「なんですか?」
「い、いえ」
ん? 本当になんだろう? よく分からないけどないならいいか。俺は深く考えることはせず席へと戻るのだった。
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次回 バイト終わりの美月さん。今日はあと1話更新するので是非読んでください!
もし、少しでも続きが気になったら星や応援お願いします。
では!
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