ホラー風連載
日本語破綻者
第1話猫
田舎でホーホーホホーと鳴いているのを聞いた事があるだろうか。
あれは大人になるまでずっと疑問であった。正体が分かったのはつい最近である。その正体とは鳩である。キジバトとか言っていたような。
正体を探るべく森に近づくとその声は消える。それはキジバトが警戒していたから、鳴くのをやめたのか。そう思った。しかし、もしそれがキジバトでは無かったら。実際に見たわけではないので、もしかしたらそれが不審者の可能性も否定は出来ないのではないか。不審者がキジバトを装って森の中でホーホーホホーと鳴いている可能性は0,0001%ぐらいはあるのではないか。
僕は正体を探るべく早朝、森へと向かった。
やはり僕が近づくと鳴き声は消える。どうすれば正体を探ることが出来るのか。森は自分の敷地ではないので、監視カメラを設置するわけにはいかない。
そうだ、猫に小型カメラをつけて森の中を散策させれば良いのだ。
ひらめいた僕は、小型カメラを猫につけ、3匹飼っている猫の最初に飼った1匹目を森へと解き放った。
「初号機よ、行け!」
猫の名前はそう、初号機である。
「ニャー!」
夕方いつも初号機が帰ってくる時間帯になった。
すると、玄関の外からいつもの「ニャー!」ではなくて、「ホーホーホホー」と鳴き声が聞こえた。
も、もしかして初号機が不審者に捕まえられ、不審者が我が家にやってきたのか?
恐怖がゾゾッとこみ上げてくる。
のぞき穴はないので、玄関のドアを警戒しながら開ける。そこにいたのは初号機の後ろ姿だった。そしてその初号機から「ホーホーホホー」と鳴き声が聞こえた。
「ば、化け猫!」
僕は初号機が化け猫になって帰ってきたのかと思った。しかし振り向いたその顔には……キジバトが咥えられていた。
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