第2話
僕は街の中を歩いている。
アメジスさんの従属の魔法陣を解除するために、街の図書館で調べているのだが、今のところ収穫は無しだ。
それは多分この国の人間は、一部を除いて魔法が使えないからなのだろう。
なんでも、昔はみんなが魔法を使えていたらしいが、魔王が人間に呪いをかけて使えなくしてしまったらしい。
数少ない魔法が使える人間は皆、王城の警備をしているため、魔法の研究が進んでいない。
そのため、魔法に関する技術が少ないのだ。
ちなみに、魔法陣には二種類あり、道具にそのまま魔法陣を書くものと紙に魔法陣を書き、あとから刻みたいものに移すというものだ。
魔法陣をかけるものは魔法を使えるものだけなので、今出回っているものは昔に書かれたものか、王城にいる魔法を使えるものたちが書いたものだ。
魔法陣があれば、魔法が使えなくても書かれている魔法であれば使えるため、かなりの高額で売られている。
「うーん、やっぱりないなぁ。」
いくら図書館を探しても、それらしいものは見つからない。
調べる方法を変えてみた方がいいのかなぁ?
僕が悩んでいると、後ろから声をかけられた。
「もしかして、サフィニア?」
後ろを振り向くと、僕が十歳頃に初めて街に出たときに会ってから、街に出るときにたまに話すようになったレンがそこにいた。
「あ、レン!こんなところで会うなんて偶然だね。」
「そうだね。そういえば、サフィニアさっき何か探してたみたいだけど、大丈夫?僕でよければ手伝うよ。」
レンがそう僕に言ってくれたので、僕はレンに手伝ってもらうことにした。
「えーと、魔法について調べたいんだ。でもなかなか見つからなくて....。」
「あぁ、確かに。魔法について本は少ないから見つけるの大変だよね。確かこっちの方に何冊かあったはずだよ。一緒に探そうか。」
「レン、ありがとう!」
レンの案内で僕が探していた魔法についての本を何冊か見つけられた。
「見つかってよかったね。」
「うん!レンがいなかったら絶対見つけられなかったよ!本当にありがとう!」
「サフィニアが探してる情報があるかはわからないけど、役に立てたならよかった。じゃあ僕は向こうの方で本を読んでるから、何かあったらいつでも言ってね。」
「わかったよ。ありがとう。」
それから、僕は見つけた本を読み始めた。
だが、ほとんどの本は魔王の呪いについてのことしか書かれてなかった。
「まあ、そう簡単に見つかるわけないよね。」
僕が次の本を読もうと、持っている本を机に置こうとしたところで僕は気づいた。
「これって、魔法陣...?」
本の表紙に小さく魔法陣のようなものが書かれているのが見える。
僕は気になって魔法陣に手をかざすと、魔法陣が光り出した。
何かを吸い取られているような感覚を覚えたところで、魔法陣の光が止んだ。
本をあらためて開いてみると、
「文字が変わってる......!」
文字が変わった本を読むと、魔法の属性と髪の色の関係についてなど、色々と書いてあった。
属性と髪の色の関係は、その人が使える魔法の属性らしい。
属性は炎・水・風・雷・土・氷の六種類ある。
それの他に無属性という属性関係なく誰でも使える属性でがある。
誰でも使えるといっても、人によって得意不得意はあるため、苦手な魔法であれば効果が薄かったりする。
そして僕が一番知りたい黒髪やアメジスさんの白髪の情報はなかった。
だが、白髪に関してはアメジスさんから聞いていて、アメジスさんいわく白髪は全ての属性が使えるらしい。
さすがアメジスさん!凄い!
本を読み続けると、国の結界について書いてあった。
この国の周りは森で覆われている。
そして、その森を囲むように結界が張られているのだ。
結界は魔王が残したとされる死の呪いの影響を防ぐために張られたものらしい。
死の呪いとは、その名の通りかかってしまうとだんだん弱っていき最後には死んでしまうという呪いである。
なので結界の外がどうなっているかはわからない。
森には魔物が生息しているためまず国から出るものようなものほとんどいない。
外に出た人はいたが、戻ってきた人は一人もいなかった。
結界についてこの本は、この国の結界は本当に呪いを防ぐものなのかという疑問が書かれていた。
そんなこと、考えたことなかったからなかなかに面白い。
こういう見方もあるんだな。
そして僕は少し気になるところを見つけた。
なんでも、昔に欠損、重病、魔法による状態異常などを治してしまうほどの、治癒魔法の使い手がいたそうだ。
噂によれば魔法をかけ続ければ、不老不死にすらなれると言われていたらしい。
そんな人が今もいたら、アメジスさんの従属の魔法陣も解除できるのにな....。
本を読み終わったあとに、他の本にも魔法陣がないかと見てみたがなさそうだった。
結局、あまり役に立ちそうな情報は無かったが、今までよりかは少しは集まった気がする。
とりあえず、今日のところは帰ることにした。
「レン、僕はそろそろ帰るね。手伝ってくれてありがと。」
「どういたしまして。またね、サフィニア。」
僕はレンに挨拶をして、屋敷に向かった。
そして、僕はいつも通る帰り道の途中で、見慣れない店を見つけた。
看板を見てみると、魔道具屋と書かれていた。
少し気になったため、お店の中に入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます