どうせ皆死ぬのにね

@dekai3

 

「どうせ皆死ぬのにね」


 初めてのオフ会を二人で抜け出した時、君はそう言っていた。





「どうせ皆死ぬのにね」


 最初に一夜を共にした時も、君はそう言っていた。





「どうせ皆死ぬのにね」


 僕のプロポーズを承諾した時も、君はそう言っていた。





「どうせ皆死ぬのにね」


 出産後に初めて子供を抱いた時も、君はそう言っていた。





「どうせ皆死ぬのにね」


 子供達が大人になり、広い家に二人きりになった時も、君はそう言っていた。





「どうせ皆死ぬのにね」


 寿命という不治の病に倒れる前、寝たきりになったベッドの上でも、君はそう言っていた。





「どうせ皆死ぬのにね」


 それが君の最後の言葉だった。

 何れ死ぬことを認めながらも、最後まで一生懸命に生き抜いた君の。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

どうせ皆死ぬのにね @dekai3

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ