第43話
「これで終わり、か」
自爆することも、更なる手札も切ることなく体を倒すサイクロプス。
再生機能をも無限ではなかったようで、30分以上の激闘の末に再生能力が発動出来なくなるまで弱らし、最終的にその命を奪った。
「もうすでにこの場でやることはない、か」
光となって消えていくサイクロプスを眺めながら僕は頭の中にあの男を浮かべて眉をひそめる。
「ふー」
僕は息を深く吐き、体を地面へと投げだす。
……血を、ちょっとだけ流しすぎた。普通につらい。
「お前が紫紺ノ狂人か……どうやら噂通りの奴みたいだな。おい!マキナ!こいつを回復してやってくれ!」
全身を鎧で身を包み、大剣を握った大男が僕へと話しかけてくる。
「で、出来ないのよ!回復させようとしているのだけど……」
「あぁ、回復魔法じゃ素の傷は治せませんよ。これくらいであれば問題ありませんので、気になされないでください」
「お、おう……」
僕の言葉に大男は若干引いたような声を漏らす。
いや、若干ではないかもしれない……かなり引いているかもしれない。
「お疲れ、アークライト。あなたが無事でよかったわ」
「なんとかね」
僕は話しかけてきたリーミャたちの方へと視線を向ける。
「……みんな。僕のために助けを呼んできてくれてありがとね。呼んできてくれてなかったら死んでだよ。僕」
そして、感謝の言葉を口にする。
「これくらい当然よ……まだまだ借りは返せてないわ」
「あ。私は相手からの借りは踏み倒し、貸しは徹底的に回収する主義なの。あとで何か感謝のしるしを頂戴?」
「こんな時に何を言っているのですか?アリスさん……空気を読んでくれません?」
「返品するわよ?」
「なぁ!?それはやめて!?」
なんか慌ただしくなり始めたリーミャたちから視線を外し、助けに来てくれたパーティーの方々へと視線を向ける。
「わざわざ助けに来てくれて下さりありがとうございました。おかげで助かりました」
「……正直に言って助けられた!って胸を張って言えるような状況じゃないが……」
「死んでいませんから。死ななきゃ無傷ですよ」
「……なるほど。お前さんが狂人と言われる由縁がわかった気がするな。ほら、さっさと地上へと上がるぞ!お前さんの傷を治さねぇとな」「
「はい。そうですね」
僕はその言葉に頷き、ちょっと離れたところで僕たちのことを見ていたお姉ちゃんへと視線を向ける。
「帰ろうか、お姉ちゃん」
僕はなんとか助け出すことが出来たお姉ちゃんに言葉を投げかけた。
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