第42話

「彼らは……?」

 

 アリスに回復魔法を受けている中、僕は今サイクロプスと戦っている人達が誰かを尋ねる。


「あの人たちは私よりも先輩の冒険者の方々で、つい最近ダンジョンから地上へと帰ってきたこの町最強の冒険者パーティーなの」

 

「なるほど……」

 

 僕はリーミャの言葉に頷く。

 今、戦っている人たちはサイクロプスを相手に危なげなく戦っており、メイン職業とサブ職業のレベルはマックス、本人のレベルも高いのだろう。

 でも、サイクロプスを相手に苦戦しているようだった。

 堅実で強く、決してHPが8割を切ることはなさそう……しかし、火力が足りていない。


「ど、どうしよう!?HPは回復出来ても素の傷は治せないんだけど!?」

 

 HPが全開になってもなお回復魔法をかけ続けていたアリスが動揺の声を漏らす。


「あぁ……なるほど。そういうことだったのね。普通の回復魔法はHPを回復させるもので、体を回復させるものじゃないからそりゃそうだよ……うんしょっと」

 

 僕は倒していた体を起こし、体を動かして問題がないかを確かめる。


「ちょ!?何立っているの!?そんなボロボロで……」


「HPありゃスキル発動できるから関係ない」

 

 僕は落ちている刀を拾い、くるくると回して構える。

 うん。問題なく扱える。

 僕はサイクロプスと戦ってくれている人たち……後方で回復魔法を使っている聖職者と思われる女性の方の隣に移動する。


「それは改造されたサイクロプスです。何が仕込まれているか未だわかりません。気をつけてください。お腹より伸びる五本目の腕は僕が最初に戦ったときにはなかったものであり、奇襲の形で生えてきたものになります。他にも隠し種があるかもしれません。死に際に自爆してもおかしくありません」


「じょ、情報感謝するわ。う、動けるの……?」

 

 聖職者と思われる女性の人は血まみれの僕を見て困惑しながら口を開く。


「問題ありません。加勢します。当たりませんので、自分のことは気になさらないでください」


「ちょ!?」


 スキルを発動し、跳躍。

 思うように動かない体をスキルで無理やり動かしてサイクロプスに襲い掛かる。

 あの男が作ったものだ。さっさと倒してしまいたい。意味の分からない何かが飛び出してくる前に。


「マジで狂人じゃねぇか!?」


「おい!?当たるぞ!?」


「当たりませんよ?回避は得意ですので……それよりも早々に倒してしまいましょう。僕のお姉ちゃんは非戦闘員なのです。ずっとこの場にいさせたくはありません」

 

 僕は困惑する人達と共に刀を振るった。

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