第4話

ボクは学校でも、栗とリスの絵を描いてるけど、先生やみんなも、いつも面白そうにボクの描く絵を観てくれる。


「背景の美しく雄大なる景色の中に、栗とリスを可愛く配置させているところ、良いと思います。共感できます」

って美術の女の先生も言ってくれる。


夜、寝てたら、クリランちゃんの声で

「わたしも、もうリスに戻るから、ここには来れません」

って聞こえてきた。

「え~?もう声、聞けなくなっちゃうの?」

「前に会った雑木林の辺りをリスとしてウロウロちょろちょろしてるから、そこに来てくれたら、きっとまた会えますよっ」

「わかった...また、あの辺りに行ってみますね」

「これからも、美術と栗とリスを愛していてください。そして自然の風景も...。わたしも、またあなたと会いたいです。また会いに来てくださいね...」


ボクは美大に進学した。

同じクラスの栗林文葉さんっていう女子と仲良くなった。

栗林さんといっしょに、よく雑木林や丘陵に行って、絵を描いている。

たまに、可愛いリスも、2人のそばにあらわれる。

2人の描いてる絵をめっちゃ嬉しそうに、その可愛いリスも観てくれている。

リスは、絵を観ながら、ボクに微笑みかけて、雑木林の中を走りまわってる。


美大の文化祭。ボクと栗林さんの描いた風景画の展示教室に、窓から可愛いリス2匹、仲良くちょろちょろって入ってきた。

ボクと栗林さんの絵を観て、ボクのまわりを2回くらい回って、それからまた窓から出て行った。

「結婚したのかなあ?」

って思った。2匹のリスは、めっちゃ仲良しだ。


「可愛いリスだね~」

って栗林さんも言っている。


夏休みに、ボクと栗林さんでパリに行った。

エッフェル塔の良く見渡せる丘で、2人で、日本から持って来た、ボクらの描いた風景画を並べて、値段を付けて売ってみた。

「きれいな風景画ですね~」

「可愛いリスですね~」

って言って、結構買っていってくれた。

パリの人たちは、印象派の頃から、今もずっと、日本的な風景画を好きみたいだ。


ボクと栗林さんは日本に戻って、周辺の風景画を描いている。


自然の中で描いてると、ちっちゃな子リスも増えたみたいで、いつも4匹でボクと栗林さんの描いてる絵を観に来る。


ボクと文葉ちゃんは結婚した。

近くの雑木林を歩いていると、4匹のリスも、いつも嬉しそうに、あらわれる。


ボクにも可愛い娘、誕生した。

娘と歩いている時も、4匹のリスは娘のまわりをくるくる回ってる。



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