今日も暗い洞窟で

ハム

第1話 本日も健康なり

「あー……今日で何日目だ?」


いつもと変わらぬ目覚め。太陽も入らない洞窟の奥、消えた焚き火の横で寝ていた俺は目を覚ます。そろそろ冬になるな、ちゃんと布団考えないと死ぬか。


「オ、オバヨー。」


「惜しいな。おはよーだ、はいどうぞ?」


「オバヨー!」


「うん良いや満点だ。でもだいぶ上手くなったな、最初はてんで駄目だったのに。」


「ウルセー。」


そう言って今じゃ縁ある奴に軽く叩かれる俺、はっはっはっ痛いじゃ


「っってぇえ!!」


「ゴ、ゴメン!」


「おまっ!ばかお前力加減をだなっ!だだだっ……これ肩外れてるよ。」


「ナオス、ワタシワルイ。」


奴が手をかざすと淡い光、それが俺の身体に入ってくるような感覚が。気づけば痛みは消えて、あれだけ痛かった肩も普通に動く。

思えばこれがなきゃ、あの時吹き飛んだ腕も帰ってこなかったわけだ。


「相変わらず凄いな、偉いぞ~。」


「へへ。」


「これじゃ当分死ねないな。」


「シヌ!?ヨクナイ、ドコワルイ!」


「いや死なないから。」


あやすように頭を撫でる。すると嬉しいか抱きついてくるもんで、いやー可愛いねかすかに感触もあって


「いだだだだだだだだ!!!」


気づいてくれない。今奴はただ抱きついてるの、でもそれは人にやると攻撃に転換するわけだ。タップして離してほしいと伝えるが、うーん諦めた方がよさそうだ。


「・・・、ヒヨリスキ。」


「あーうんありがとうね、今殺されかけたけど。」 


「ダレダ!テキナラタオス!」


「自分を倒すのか笑える。」


「ワラウ。」


「変な言葉覚えるんじゃねえよ。」


今日も死ねない、明日は死ねるかもな。そこそこの付き合いだが、奴の名前もよく分からない。いや……聞こえてるけど聞こえない?てのか。だから間が空くように聞こえて、でもよく聞けば何か言ってる気がする。そんな感覚だ。


「よしそろそろ行くぞ。俺は街、お前は?」


「オマエチガウ、・・・ダ。」


「ああ悪いよ、まだ分からないんだ。でそっちは?」


「カリダ!ゴハンタメル。」


「そう正解。じゃあよろしくな、俺も何か出来るようやってみるよ。」


と言ってみたが、俺はこの世界の言葉も仕組みも。そもそもこの世界の名前すら分からない。それでもまあ、やれることはある。


今日も俺は、元気にやれてる。

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