19:おかしいのは……
ジュリアは、リディオを見てから、戸惑った表情でミケーレと生徒会長……侯爵家嫡男のノルベルトの顔を見る。
「私の認識がおかしいのでしょうか?誕生日の贈り物って、一方的に女性が贈るのが常識なのですか?」
心底困惑しているジュリアの声に、ミケーレとノルベルトは大袈裟に驚いて見せる。
「いやいや。僕は魅力的な女性にあげたいとは思うけど、一方的に貰う事は無いねえ」
ノルベルトは肩をすくめて、舞台俳優のように宣言する。
「私も婚約者のサーラとは贈り合うけど、一方的に貰う事は無いな。妖精姫に一方的に贈りたいとは思うけどね」
ミケーレも殊更大きな声で、周りへ聞こえるように話す。
「私も貰ったらお返ししたいとは思いますけど、ちょっと量が多過ぎて全てには難しいのですわ。でも、お礼状は全て自分で書きましたのよ」
ジュリアが申し訳無さそうに言うと、横の二人は「しょうがないよ」「当たり前だ」と擁護する。
完全に置いてきぼりで蚊帳の外のリディオは、拳を握り、顔を真っ赤にして震えていた。
馬鹿にされたのだと気付いたのだろう。
そんなリディオを見て、ミケーレとノルベルトは鼻で笑う。
そして、周りが一歩下がるほど、スッと表情を消して、冷たい視線でリディオを睨んだ。
「しかも何だっけ?うちの姫に向かって、貧乏とか言っていたか?」
「娼婦になる練習とか、侮辱もしていたな」
一段下がった声音に、リディオの肩が揺れた。
「貧乏は君だろう?サンテデスキ伯爵令息」
ノルベルトの言葉に、リディオは「え?」と驚きの表情をする。
「うちの商会に営業に来ていたよ。父の同窓生ってだけで、何も繋がりが無いのにねえ」
呆れたように言われて、リディオは何か言い返そうと息を吸った。
しかし、反論する前に、今度はミケーレが口を開く。
「うちにも来ていたね。叔父の伯爵家にも、男爵家にも来たらしい。私の婚約者の家には、母親同士が友人だからと借金の申込みまでしてきた恥知らずは、サンテデスキ伯爵家だったよね?」
ミケーレの視線が更に冷たくなる。
「娼婦なのは、バーバラ男爵令嬢だろう?バーバラ伯爵夫人になりすましていたらしいじゃないか」
ミケーレはリディオを追い詰める手を緩めなかった。
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