第6話 ギルドに行く

そうして4年が経過した。

俺は16歳を迎え、旅立ちの日を迎える。

あれ以降先生のことは1度も見かけることがなかった。


そんな俺はギルドに冒険者登録をしに来た。


「すまない」

「はーい!あら!可愛い男の子が来たわ!どうしたの?」


受付のお姉さんが出迎えてくれた。


「冒険者登録をしたいんだけど、どうしたらいいかな」

「わかったわ!じゃあここに名前を書いてくれるかしら?」

「はい」


俺は渡された紙に自分の名前を記入する。


「はい。これでよし。じゃあこれに手を当ててね」


そう言われ、水晶に手を当てる。

すると、俺の情報が表示された。


「凄いわ!貴方、才能の塊じゃない!魔法の才能がずば抜けてるし、魔力量なんて見たことないレベルよ!?」


リコ先生に言われたようなことをまた言われている。

しばらく待っていたら落ち着く女の人


「ああ。ごめんなさい。つい興奮しちゃって……。まずはこのカードを貸すから、これを肌身離さず持っておいてね」


そう言ってギルドカードを渡してきた。


「分かった」

「次にランクについて説明するわね。F〜Sまであって、最初は皆Fから始まるの。でも貴方の場合、飛び級できるかも。試験を受けて結果次第で飛び級できるんだけど」


俺は受けると頷く。


「試験だけど今から受けれるかな?」

「大丈夫」

「じゃあ行きましょう」


俺は連れられ、ギルドの地下に案内された。

そこには訓練場があった。


「ここで試験を行うの。模擬戦をしてみてくれない?実力を見ておきたいの」

「わかった」


相手は大柄な男だった。

俺達は向かい合った。


「いつ始めて構わないよ」

「では遠慮なく」


そう言われたので俺はファイアソードを使った。

すると相手は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに剣を構えた。


「へぇ。その歳で剣を扱えるんだ。しかも魔法剣か。なかなかやるねぇ」


剣で攻撃すると思った?違うんだよねぇ。


「ウィンドカッター」


風の刃を飛ばす。


「当たらねぇなぁ?!」


そう言ってくる対戦相手だが、


「どうかな?」


俺のウィンドカッターの数が3倍に増えて攻撃を続ける。

さらに5倍に増える。


「なっ……なんだこれは……?」


そして10倍になり、相手を追い詰める。


「ぐあっ……クソッ……」


風の刃が相手を薄皮1枚切りながら男の行動を制限していく。


「な、なんだコイツ……何だこの技術力。一歩も、う、動けねぇ……」

「降参してくれるかな?」

「くそぉ……」


相手が諦めかけた時、


「そこまでです」


審判役の人が止めに入った。


「これ以上は危険と判断します」


俺は風の刃を消滅させた。

当てないんだけどな。

言われなくても。


「今の戦績を元にランク付を行います」

「頼むよ」

「では、Bランクとします。これにて試験はおしまいです」

「ありがとう」


俺は地上に戻った。

Bランクに更新してもらったカードを受け取る。


「お疲れ様。すごいわねいきなりBランクだなんて」

「そうなのかな?」

「うん、すごいよ。それより早速依頼を受けてみない?」

「そうしようかな」


そうやって依頼を見ていると声をかけられた。


「おい、お前、さっきの試験見てたぞ。結構やるようじゃないか」


話しかけてきたのは大柄の男だった。

巨大な武器を背負っている男。


「どうも」

「俺はAランクの冒険者、俺と一緒に来ないか?丁度人手が欲しかったところだ」

「えっと……」

「嫌なら断ってくれても構わんが、どうする?」

「まだこの街にきて間もないし、もう少しこの辺りのことを勉強してから決めようと思ってるよ」


本音はこんなゴツイ男と冒険したくないからだが。

一応そう言っておく。


建前と本音は使い分けないとね。

それにしてもいきなりAランク冒険者に勧誘されるなんてな。


先生の教育のおかげだな。


「そうか。わかった。また気が向いたら声掛けてくれ」

「あぁ」


俺は街を散策することにした。

俺は街の中を歩いていると、ある看板を見つけた。


「奴隷商か。少し覗いてみよう」


俺は店内に入る。

すると、店員がやってきた。


「いらっしゃいま……お、お客様……!さぁこちらに!」


奥の部屋へと通される。


「本日は何をお探しでしょうか?」

「えっと、特に欲しいものはないが、強いて言うならば戦闘が出来る人材を探しるんだが」

「なるほど。ではどのような女性が好みですか?」

「うーん……。そうだな……。あまり強すぎる女性だと困るな。あと、年齢も15歳から20歳までの女性で」


力の強い女は怖いね。

やっぱり可愛くて力の弱い子がいい。


「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」


しばらく待っていると、店員に呼ばれた。


「ご用意が出来ました。どうぞご覧下さい」


そこには4人の女性がいた。

一人目は、身長155センチ程の小柄の少女。

二人目はその少女より一回り大きい体躯の戦士風の女性。

三人目は、背が高くスタイル抜群の美女。

四人目は、小柄な猫耳の少女。


「それぞれ得意なことが異なりまして、例えば、戦士風の方が力が強く、長身の方はスピードに長けており、小柄な方は魔法が得意となっております」

「ふむ。では順番に話をしていこう」


まずは戦士風の女性の所へ。


「私はミザリィ。力には自信がある。それに、剣技も心得てる。私の主な仕事は護衛だ」

「君はどうだい?」

「はい!私の名前はルルです!よろしくお願いします!アサシンの適性があって素早く動けます!」

「じゃあ次は君かな?」

「はい!私の名前はリリスと言います!回復魔法の使い手です!よろしくお願いします!」

「最後は君かな?」

「はい!私の名前はメルです。武器は弓を使います。遠距離攻撃は任せてください」


俺はルルを買うことにした。

護衛も回復魔法も遠距離攻撃もいらないかなって思って。


「では、契約の準備をするので、一旦外に出ましょう」


店員に言われて俺は店の外に出る。


「では、ここにサインをお願い致します」


俺は書類に名前を書いた。


「これでいいですか?」

「はい。大丈夫です。それでは、これから宜しくお願いいたします」


ルルと名乗った少女を見る。


「よ、よろしくお願いします」

「あぁ。よろしく頼むよ」


こうして俺は仲間を手に入れた。


俺達はまたギルドに来ていた。

意外と時間はあったから何か軽く受けてみようということだが。


「何か依頼を受けたいのだが、ルルは何がいい?」

「そうですね……こちらなんていかがでしょう?」


それは、ゴブリン退治の依頼だった。


「これにしようか」


とりあえず初日だしルルとの連携も初めてだ。

冒険者生活初日くらいは簡単にね?


軽く体を動かす程度で問題ないだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る