第3話 初めての狩り
俺達は早速街に出かけた。
俺は今まで街に出てきたことが無かったから初めて見る光景に心を奪われる。
よく言われてるような中世ヨーロッパ風の街並みが広がっていた。
「ここが王都ですか」
「そうだよ。この国の一番大きな都市だよ。知ってたかな?」
知らなかったので教えてくれたことに感謝しておく。
「確かに大きいですね」
「じゃあまずは冒険者ギルドにでも行ってみようか」
「はい、行きましょう」
冒険者ギルドに着き、中に入った。
中には色々な人がいて、武器を持った人がたくさんいた。
社畜帝国じゃ見れなかった光景に心が踊る。
すごい、これが異世界か。
「なんか緊張しますね……」
「大丈夫だよ。シロナ君は強いんだから」
「そうですか?」
「うん。絶対大丈夫だよ。私が保証する」
受付に行き、簡単な説明を受けた。
「依頼は基本的に掲示板に貼ってある紙を取ってきて、受付に持ってきてくださったら受注できますよ」
「分かりました」
「何か質問はありますか?」
「えっと……あの……魔獣ってどこにいるんですか?」
俺は初めて行くクエストで不安になりそんな事を聞いていたが受付の人は笑わずに答えてくれる。
「基本的には森にいると思いますよ」
「なるほど……ちなみにどんな魔獣がいるんですか?」
「そうですね……ゴブリンやコボルト、オーク、スライム、ウルフ、グリフォン、ワイバーン、トレント、ジャイアントスネークなどですね」
全部Cランク以下のモンスターらしい。
でも結構な数がいるんだなぁ。
「へぇー結構多いんですね」
「はい。なので気をつけてくださいね」
「はい。ありがとうございました」
「じゃあ早速依頼を受けてこようか」
「そうですね」
2人で掲示板の前に行く。
「何がいいかな?」
「どれでもいいんじゃないんですか?」
「そうかもね。じゃあこれにするか」
そう言ってリコ先生は1枚の紙を取った。
「えっと……ブラックタイガーの討伐か……」
「どういう内容なんですか?」
「えっと……最近この辺りの森でブラックタイガーが大量に発生しているらしいんだ。それで、それを駆除して欲しいということだ」
「なるほど……それならいけるかもしれませんね」
「よし。じゃあ早速出発しようか」
「はい!」
こうして俺の初めてのクエストが始まった。俺とリコ先生は森の中を歩いていた。
「確かブラックタイガーってCランクの魔物でしたよね」
俺みたいな初心者でもこういうクエストを受けられるのはSランクの先生がいてくれるからだ。
「そうだよ。よく知ってたね」
「本に書いてあったので」
「そうなんだ。やっぱりシロナ君って物知りなんだな」
「はい。将来は冒険者になりたいんです」
だからそのために色々と勉強してきたつもりだ。
魔法のこともモンスターの事も。
「そうか。じゃあそろそろ出てくるかもしれないから準備してくれ」
「はい」
しばらく歩いていると前から5匹の黒い虎が出てきた。
「あれがブラックタイガーか……」
鑑定スキルを使ってみると、名前はそのままで、種族がタイガーとなっていた。
「どうする?私がやるかい?」
「いえ。ここは俺に任せてください」
「分かった。危なくなったら手を出すからね」
「はい!」
俺は魔法を唱えた。
「アイシクルランス」
すると、氷の槍が飛び出し、3匹に突き刺さった。
今の俺では3本までしか生み出せなかったようだ。
「ガァッ!!」
残りの2匹は俺に襲いかかってきた。
俺はファイアソードを抜き、応戦しようとしたその時、
「ウィンドカッター」
風の刃が2匹に当たり、吹き飛ばされた。
俺にはまだ使えない風属性の魔法だった。
すごい。
「ナイスアシストです!リコさん」
先生が俺をアシストしてくれていた。
流石先生だ。
「まぁこれくらい余裕だよ」
「じゃあとどめを刺しますね」
俺はファイアソードを使い、ブラックタイガーを倒した。
「よし。終わりましたよ」
「お疲れ様。なかなかいい戦い方だったよ」
「ありがとうございます」
「とりあえず素材を回収しようか」
「はい」
その後、全ての素材を回収し、街に戻った。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。楽しかったよ」
「また明日もよろしくお願いします」
「ああ。いつでも来てくれ」
そして先生と別れ、家に帰った。
明日からはどんな練習をするんだろう?
次の日、朝起きてすぐに先生の所に向かった。
するとそこには既に先生がいた。
「おはようございます!」
「おはよう。今日は早いんだね」
「はい!」
「じゃあ早速始めようか」
それから2時間ほど魔法の練習をした。
今日は風属性魔法の初級魔法を中心に練習した。
「よし。もう十分だろう」
「分かりました」
その言葉を受けて俺は適当な時間に練習してみようという気になる。
「じゃあ私は帰るね」
「ありがとうございました」
「じゃあね」
そう言って先生は帰っていった。
「よし。頑張るか」
俺はそれから夕方までずっと魔法の練習をしていた。
「よし。こんなもんかな」
かなり使えるようになったと思う。
「後は実践で試すだけだな」
そうして夜ご飯を食べた後、街に繰り出した。
まずは近くの森に行き、ゴブリンを倒してみた。
「アイスバレット」
ゴブリンは氷の弾丸で頭を撃ち抜かれて死んだ。
次にオークと戦ってみた。
オークは力が強く、苦戦したがなんとか魔法で倒すことができた。
次はウルフと戦ってみる。
ウルフは素早く動き回り、攻撃を当てられないと思ったが、
「ウィンドカッター」
ウルフは首を切り落とされ、倒れた。
最後にトレントと戦った。
トレントは木に擬態していて、見つけるのが困難だったが、
「ファイヤーボール」
トレントは燃え上がり、倒した。
「ふぅ……意外と何とかなるものだな」
自分の実力を確認した俺は家に帰ることにしたのだがその帰り道にウルフに襲われていた女の子がいたので助けた。
「あ、ありがとう!冒険者さん!」
そう言って抱きついてくる赤髪の女の子に戸惑いながら引き剥がす。
「俺は冒険者じゃないよ。まだ見習いさ」
そう答えて女の子の手を繋ぎながら家まで送る。
「見習いであんなにすごい魔法使えるの?魔法ってすごく難しいんだよね?」
「俺の先生が凄いんだ。教えるのが上手くてね。俺はそんな先生みたいな冒険者になりたいんだ」
「わ、私も冒険者になりたいの。剣士を目指してるの」
「そうなんだ。だから剣を持ってたんだね。でも危ないよ1人じゃ」
「そっちも1人のくせに」
うぐっ……。厳しいところを突いてくるなぁ。
「ここが家。送ってくれてありがとう。私はエルザ」
そう名乗ってくるエルザという少女。
「俺はシロナ」
「も、もし冒険者になれたら、いつか一緒にパーティを組んで欲しい」
「いいよ。楽しみにしてる」
「や、約束だからね」
それに頷いて俺は自分の家に帰ることにした。
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