底辺の冒険者なので、スキルでポーション作って生計立てます。

KAZU

第1話「底辺の冒険者」

この春、冒険者育成学校を卒業した俺、東城 幸(とうじょう こう)は今日もスライムダンジョンにひとりで潜っている。


ダンジョンは約100年前に世界中に突如出現し、5歳以上の人間全てにステータスとスキルを与えた。ダンジョン発生から今までの間に、それぞれの国がダンジョンから持ち出された魔石を研究し、新たなエネルギー資源としたことでダンジョンに潜り魔石を採取する冒険者という仕事が定着した。


そして今では俺が通っていたような、冒険者育成学校という高校まで用意されている。

この学校で戦闘能力や、冒険に必要な知識を身に着けることで、卒業時に冒険者ライセンスを取ることが出来る。


学校を卒業して、ちゃんとしたライセンスを持っているにもかかわらず、パーティを組めずにひとりで最底辺のスライムダンジョンに潜っている理由は、俺自身のステータスの低さと卒業時の冒険者ランクが「G」だったことだ。


基本的に、落第せずに冒険者育成学校を卒業すればFランクからのスタートになる。優秀な人にはEランクが与えられるが極わずからしい。


そんな中で、卒業できたのに戦闘能力が低くGランク。そして基本ステータスの低さから先の成長が見込めないことから、同期の冒険者からは敬遠されてしまい、卒業と同時にボッチになってしまったということだ。


そんな俺のステータスはこんな感じ。



名 前:東城 幸(とうじょう こう)

レベル:3

スキル:クラフト Lv.1(ダンジョン素材でアイテムを製作できる。)


生命力:20(5)

魔 力:30/30(10)

攻撃力:7(1)

防御力:7(1)

敏 捷:7(1)

器 用:20(5)

幸 運:20(5)


魔 法:なし

称 号:Gランク冒険者



カッコの中の数字は前回レベルアップ時の上昇値なんだが、基本的に毎回これと同じぐらいの数値が上乗せされるらしく、攻撃・防御・敏捷の数値が壊滅的なため戦闘の成長見込みがないと言われている。

魔力や器用が高いので、レアドロップの魔法スキルオーブを使って魔法を覚えれば!と思ったのだが、やはり攻撃力が低いのが問題だ。


とまぁ、こんな感じでボッチになってしまったわけだが…。

学校を卒業して1週間。既に冒険者になった事を後悔している。


「毎日朝から晩までスライム狩り…。なんとかその日暮らしの生活はできるけど、俺は毎日何をしているんだろう…。」


スライムからドロップするのは、確定で1個10円のスライムゼリー。10%ぐらいの確立で1個50円のGランク魔石。


スライムを100匹くらい倒せば、おおよそ1,500円ぐらいのお金になる。食費と冒険者ギルド併設のネカフェ代を稼ぐ為に、1日300匹倒すのを目標にしているが、スライムではなかなかレベルは上がらない。


「せめて、ひとりでゴブリン2,3体と闘えるぐらいのステータスがあればFランクダンジョンに行けるのに…。」


そうボヤキながらスライムを流れ作業で狩って行くと、1階層の終わりが見えてきた。


「やっと1階層の終わりか。さっさと今日の狩場へいきますか。」


スライムだけでは効率が悪いので、今日は少し溜めたお金を使って薬草用に採取袋とハサミを買ってきていたのだ。


2階層以降に生えている薬草の買取は1本10円。正直な感想は安すぎる!

しかし、ステータスを補うためにも装備の更新は必須の為、今はやるしかない。


「いつか絶対に普通の冒険者ライフを送ってやる…。」


レベルを上げて、最低限ダンジョン探索について行けるだけのステータスを手に入れれば、現地調達した素材で武器やアイテムを作り出せるクラフトスキル持ちの俺は、確実に戦力になれるはず。実際にクラフトスキル持ちの冒険者は、深層への探索には必須と言われるぐらいなのだ。


「そのためにも、今はお金稼ぎを頑張らないとな!」


2階層の草原フィールドに入って少し進むと、薬草がチラホラと生えているため、腰を降ろしチョキ、チョキとひたすら薬草集めに勤しむのだった。


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