春風のなかに。

 春風のなかに立ち上がれば、思い出し忘れの笑顔といっしょに、私は立ったまま眠っていましょう。天使のような気もちをもって、ふいに悲しみが訪れたときには、誰もいないところで泣いていましょう。もしも場所がないなら、心のなかに世界をつくり、そこで泣いてしまおう……。誰か大好きな人がこの部屋をたずねてきたら、私は紅茶を出して、「お菓子はありませんけれど」そう、言おう……。春風のなかで瞬きをして、狂い咲きじゃない、今年1ばんのたんぽぽを見つけましょう。

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