listening to there...

 越えて、越えて、それでも越えて。はかなむのではなくて。闇による辺はなくとも、眠れる部屋が、まだあるのでしょう? そこにいるのは、めらんこりあ。つづきの鐘を待つために、いたずらに書きつらねる想いではなく、せつなさも、悲しさも、すべてを通り越して。まだ、夜があるのでしょう? 眠れる夜があるのでしょう? ……だれ? わたしの不在の昼に、虹いろのさかなはこの部屋をうめつくして、不確定な感情をそのままに、呼び戻されたように神さまの、僕のように安らかな。つむがれて、巻き戻されて、泣いている夜にしずむ前の。それよりも前に。越えて……。越えて。……そのなかに、……そのそとがわに、あなたはいて、響きあう時ならば、そのは伝わるように、落ちて。拾いあげるの、それから、落穂のように。秋ではないのだけれど、秋ではないのだけれど、すべての存在がしずみこんでゆく、そのあいだに。この時は、夜と、その夜とのあいだにあるのね? 昼と、その昼とのあいだにあるのね? そしてそのままに、越えて、越えて、越えて、越えて……。越えて。──:

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